五島・対馬・壱岐編(42):勝本(09.9)

 ぐるりと港をまわって、ふたたび路地にもぐりこむと「あほう塀」という大きな石塀があります。クジラ組の土肥家の屋敷跡にある高さ7m、長さ90mにおよぶ巨大な石垣の塀で、1767年に巨額の資金を投入し豪邸を新築しましたが、いつの時代にか無用の長物と写り、「あほう塀」と呼ばれるようになったそうです。
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 このあたりでは共同井戸と水神をよく見かけました。もう使われてはいないようですが。
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 細い路地を入ったところにあるのが印鑰(いんにゃく)神社、何でも防人のための武器庫の鍵を祀った神社だそうです。
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 お堂の戸が開いていたので失礼して中に入ると、祭壇の前が畳敷きになっており、流し台や湯のみ・コップを入れたガラス戸棚がありました。神事をとりおこなう場として日常的に使われているのか、あるいは単なる集会場なのかはわかりませんが、神々と日々向かい合いながら暮らしているように思われます。「新生活運動推進事項」というポスターが貼ってありましたが、内容が興味深いものなので一部を転記します。
 お互いに見栄や、外聞にとらわれず、虚礼廃止につとめましょう。
1.結婚披露宴、その他祝事は、簡素にするように心掛けましょう。特に、結婚披露宴等はみんなで祝福してやる会費制方式をとり入れる等、意義のあるものとなるよう心掛けましょう。
   ◎祝事については、相手方の厚意を受けるようにいたしましょう。
2.お見舞金は3000円以内とする。お見舞返しは廃止しましょう。
3.香典は5000円以内とする。香典返しは廃止しましょう。
 この地域の日常的な暮らしのある側面を髣髴とさせる内容ですね。同時もにそれにともなう負担や気苦労もうかがえます。
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 そして煉瓦造りの側壁や卯建(うだつ)、鉄製の観音開き窓が重厚な雰囲気を醸し出す石橋酒造がありました。
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 このあたりで路地に入ると、入口の戸を開けっ放しにしているお宅がほとんどです。入口全体を覆う網戸なんて、都会ではちょっとお目にかかれません。何でもこんなに大きな漁村でありながら、駐在所は一ヶ所だけだそうです。いかに治安が良いか、身に沁みて感じました。あるお宅では「電話一二番」と記された木札が玄関の上に掲げられていました。
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 さてそろそろ郷ノ浦行きバスがやってくる時間です。残念ながらイルカパークはすこし離れたところにあるので、行けそうにありません。なお、宮本常一が壱岐の人びとに残した言葉があるそうです。「陸や海の自然や動物などの生態を知り得るような公園(博物館・動物園・植物園など)…これらは親子や家族が多く訪ねるし、親と子をつなぐ大切な絆の役割をはたしている」 一支国博物館ではなく、こういったものをもっとつくればよかったのになあ。すこし時間があるので、バス停に近いモカジャバカフェ大久保本店で珈琲をいただくことにしました。名前とは裏腹に、見事な和風木造建築のお店です。折り畳みのバンコ(縁台)、見事な彫り物、二階手摺の洒落た意匠、屋号が書かれたしぶいすりガラスの戸など、見どころいっぱいの物件でした。それにしても「半自動ドア」っていったい何だろう???
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 本日の四枚です。
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by sabasaba13 | 2010-09-13 06:27 | 九州 | Comments(0)
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