南東北錦秋編(21):気仙沼(09.10)

 ここで気づいたのですが、交差点の四隅に建つ家の角が切ってあってスペースが広くなっており、そこに入口がある例が多いのですね。人の行き交う交差点を有効に活用しようという意図だとしたら、これは大した見識だと思います。大都市だとよくここには銀行があり、休日にはまったくデッド・スペースになっているのとは対照的です。
c0051620_624931.jpg

 ヨーロッパの都市では、ここによくカフェがありますね。参考までに、左はダブリン(アイルランド)、右はコインブラ(ポルトガル)の街角です。
c0051620_6243490.jpg

 半円アーチや列柱をほどこした洋館や、角地をうまく生かした和風建築など、見ものはまだまだ続きます。
c0051620_625262.jpg

 あるお宅にはスズランの浮き彫り、そして青海波に麻の葉をうまく組み込んだ青銅の戸袋がありましたが、これはもう芸術作品に近いものです。
c0051620_6253071.jpg

 町の歴史とともに歩んできたような錆をもつ「信夫商店」や、上品で洒落た「松月堂」も忘れられない物件です。
c0051620_625543.jpg

 そして大きな交差点の角に建つ「武山米店」は国登録有形文化財。円形の1/4の敷地に数軒の家が建っているため、それぞれがショート・ケーキのように先細りとなっています。不整形な立地に合わせてこれだけの上物をつくる大工の技量にはあらためて感嘆します。
c0051620_6262561.jpg

 その対面には、角地をうまく生かした古風な三階建ビルが屹立していました。足元にあった交通安全足型(仮名)は、丸の中に足型と左右の矢印、そして外側上部に「左 右」と書かれているレアな物件です。
c0051620_6264854.jpg

 それでは南町通りへ行きましょう。こちらも魚町通りに負けず劣らずの傑物ぞろいです。幾何学的な装飾にみちあふれた「SASAKI」、その向かいのビルはアール・デコ調の切れ味鋭いデザインです。
c0051620_6271531.jpg

 「割烹 扇屋」は細部の彫り物と格子窓が素晴らしい和風建築、写真館の「島忠」は連続するアーチ窓とアンシンメトリーなファサードが見ものです。
c0051620_6274071.jpg

 その近くにあった床屋さんは、細長い不整形の敷地に強引に建てた物件、大工さんの力技が光ります。他にも微妙にゆがんでいる建物や、二階部分がせり出した物件をあちこちでたくさん見かけました。狭小な平地を有効活用するための努力なのでしょう。それにしても「みなし子」とは…心の琴線をかき鳴らすネーミングですね。
c0051620_628932.jpg

 「舗茶藤齋 茶銘国諸」は二階の格子窓が見事な伝統的商家造り、その前にある「三事堂ささ木」(国登録有形文化財)は、白壁の蔵造り店舗に洒落た洋風の窓が並ぶユニークな物件です。その隣には堂々とした四本の角柱が並ぶ恰幅のよい商業ビル。
c0051620_6283320.jpg

 いやはや、まるで白昼夢を見たような気分で立ち眩みを覚えました。まだまだ面白怪しい物件はありそうですがそろそろホテルに戻らねば、後ろ髪を引かれるように立ち去りました。

 本日の三枚、一番下が「三事堂ささ木」です。
c0051620_629018.jpg

c0051620_6291972.jpg

c0051620_629421.jpg

by sabasaba13 | 2010-10-26 06:30 | 東北 | Comments(2)
Commented by コバトン at 2011-04-01 16:53 x
気仙沼について調べて此方に辿り着きました。
住んでいた時に周辺を写真で撮る事をしてなかったので町の風景や電車の写真、映像は地元民以外の旅行した人達が多く持っているはずと思い地震以降色々なブログを探し見てます。
実家周辺や親戚の家が映ってたり横断歩道の所にあった止まれのマークとか懐かしかったです。
建物についての内容が興味深かったです。上手く言えませんが角の作りや造形について面白かったです。
とても懐かしく有難かったのでコメントをと思いました。
奈良の内容が凄く気になるので落ち着いたらまたお邪魔します。
Commented by sabasaba13 at 2011-04-04 21:55
 こんばんは、コバトンさん。お見舞い申し上げたいのですが…何と言えばよいのか、その言葉が見つかりません。一日も早い復興を祈念するのみです。ただこの記事の拙い文と写真が、何かのお役に立てたのならこれに勝る喜びはありません。このブログを続けてきて本当に良かったと思います。
 あの大好きな気仙沼にこのような悲劇が襲いかかろうとは思いもしませんでした。これまでいろいろな地を歩いてきましたが、そこに住む方々に愛されている街はすぐ分かります。その風土にあった街づくり、住民の思いを吸いこんだ古い建物、訪れる旅人へのもてなしの心、間違いなく気仙沼もそうした、思い出に残る街の一つです。どうぞお体に気をつけてください。いつかまた必ず素敵な気仙沼を訪れるつもりです。
<< 南東北錦秋編(22):気仙沼か... 南東北錦秋編(20):気仙沼(... >>