京都錦秋編(10):宝厳院(09.12)

 天龍寺の境内に入り、左に歩いていくと、そこが宝厳院。こちらも細川頼之による創建で、嵐山を取り入れた借景回遊式庭園「獅子吼の庭」があります。それでは拝観料を払って中に入りましょう。おおっ素晴らしい、ここを先途とばかりに鮮やかに色づいた紅葉の饗宴です。ちょうど今が見頃ですね、このあたりは盛りがかなり遅いようです。ゆるやかに起伏する、苔に覆われた園地に散在するモミジの古木、まばらに落ちる散り紅葉、アクセントとなる大小の庭石、その間を縫って流れる鑓水、さまざまな意匠の垣、もう惚れ惚れしてしまいます。もう桃源郷ならぬ楓源郷。その間を回遊するにつれて、景色が千変万化するのも興趣にあふれます。おまけに陽光が燦燦とふりそそぎはじめ、モミジの赤・橙も苔の緑もより鮮やかとなりました。まだ知名度もあまりないのでしょうか、人出もそれほど多くはなかったので落ち着いて見られたのも幸いでした。
c0051620_624151.jpg

 そして門を出ると、赤・橙に色づいた見事なモミジ並木がわれわれを待っていました。地を這うような枝ぶりのモミジと散り紅葉の構図もフォトジェニックですね。通り行く人もみな真っ赤に染まったような顔をほころばせ、幸せそうに微笑んでおられます。見知らぬ人どうしがお互いにツー・ショットを撮り合っている光景にも心和みますね。
c0051620_63936.jpg

 さてそれでは京福電気鉄道(嵐電)嵐山駅で自転車を借りることにしましょう。余談ですが、なぜ“京福”と名乗るのか、「線路を楽しむ鉄道学」(今尾恵介 講談社現代新書1995)を読んでわかりました。この会社の前身は京都電灯という電力会社で京都府と福井県の双方に電車の路線をもっていたためだそうです。現在ではこの通称“嵐電”と叡山電鉄、福井ではえちぜん鉄道として運行されています。(p.158) それがどうしたと言われても困ってしまいますが…
 天龍寺の境内を駅に向かい歩いていると、もののみごとに真っ赤に紅葉したモミジが一本ありましたが、誰も見向きも振り返りもしません。名のある寺社の境内に生えるか生えないかで、モミジの運命も決まってしまうのですね。こうした人知れず美しく紅葉する健気な木々への目配りも忘れないようにしたいものです。ふぁいとっ! ハイ・シーズンには渋谷状態となる嵐山駅前の通りも思ったほどの大混雑ではありません、やはり十二月になると多少人出も減るのでしょうか。
c0051620_633795.jpg

 嵐山駅に着くと、駅前で大道芸人が南京玉すだれを実演中でした。駅構内にある店で自転車を借りると、駅にある足湯無料サービス券をくれました。すると山ノ神の瞳の虹彩に炎がポッとついたようです。「山ノ神は倒るる所に土を掴め」と言うそうですが、しぶちんの彼女がほっておくわけはありません。こりゃつきあわされそうだ、しゃあない、後で供奉しましょう。店の前に積んであったのは聖護院ダイコンでしょうか、千枚漬けに変身した姿を想像したのか、またもや山ノ神の瞳が怪しく輝いています。お風呂と食べもの、彼女の生を支える二つの重要なファクターですからね。私は…三番目ぐらいなのかな。
c0051620_64644.jpg


 本日の八枚です。
c0051620_643062.jpg

c0051620_645287.jpg

c0051620_652060.jpg

c0051620_655074.jpg

c0051620_661545.jpg

c0051620_663759.jpg

c0051620_665832.jpg

c0051620_672197.jpg

by sabasaba13 | 2010-11-28 06:08 | 京都 | Comments(0)
<< 京都錦秋編(11):鹿王院(0... 京都錦秋編(9):嵐山(09.12) >>