京都錦秋編(12):大覚寺(09.12)

 大覚寺、真言宗大覚寺派の大本山、もともとは嵯峨天皇の離宮(嵯峨院)でしたが、後に仏寺に改められ皇族が住職となる門跡寺院となりました。13世紀には亀山院、後宇多院の皇統に属する皇族が代々こちらの住持を勤めたので、この皇統を大覚寺統(南朝)とよび、持明院統(北朝)と対立することになります。(南北朝時代)  1392年、両統講和のおり、南朝の後亀山天皇から北朝の後小松天皇に三種の神器が授受された、いわゆる南北朝合体の歴史的舞台としても知られます。茶々を入れると、この後大覚寺統=南朝から天皇は出ていませんから、"南朝滅亡"というのが正解です。北朝の末裔である昭和天皇が、このことに劣等感を抱き、己の正統性の根拠である三種の神器がアメリカ軍に奪われないよう、戦争末期において右往左往したことを思い出します。
 ま、それはさておき、お目当ては大沢池の紅葉です。08年の三月末に訪れた時は、桜はいまだ蕾で臍を噛んだのですが、さあ紅葉はいかがでしょう。大沢池は、周囲約1kmの日本最古の林泉庭園で、嵯峨天皇が離宮嵯峨院の造営にあたって、中国の洞庭湖を模して造られたところから庭湖とも呼ばれそうです。鏡のような湖面に映る錦のような紅葉…を期待したのですが、それほどではありませんでした。ちょっと残念。それでもぐるりと池の周りを歩いていると、モミジの古木の並木道があります。はらはらと葉も落ちていますが、ほとんど観光客のいない静かな雰囲気の中、名残りの紅葉を楽しむことができました。"うらを見せ表を見せて散るもみじ"(良寛)、なかなか味わい深い風情です。
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 さらに池に沿って歩いていくと、ところどころに赤・橙に色づいたモミジに出会えました。陽光をあびて輝く裏紅葉ごしに眺める水面と対岸の風景、そして緑なす連山、ピクチャレスクな景色を何枚も写真におさめました。そして散り紅葉にうずもれながら戯れる二匹の、「仲間に入れて」と近づくと慌てて逃げ出してしまいました、御免。
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 さて大覚寺を拝観しますか、それにしても大きなお寺さんです。五大堂・宸殿・御影堂・正寝殿といった豪壮な堂宇が渡り廊下でつながれていますが、どうやって維持しているのでしょうか、などと要らぬ心配をしてしまいます。檀家のお布施だけと拝観料ではかなりきついような気がしますが。なお肝心の紅葉に関しては、見るべきものはなし。折り目正しそうな男女を描いたトイレ表示は収穫でした。
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 本日の七枚です。
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by sabasaba13 | 2010-11-30 06:29 | 京都 | Comments(0)
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