京都錦秋編(21):妙心寺退蔵院(09.12)

 花園会館の隣にある駐車場に自転車をとめ、トイレを拝借。そして徒歩で妙心寺の塔頭めぐりをすることにしましょう。公開されているのは退蔵院・大法院・大心院・桂春院、一つぐらいは紅葉の穴場にめぐりあえるのではとほのかに期待しています。妙心寺境内に入ると、近所の方々がすーいすいと自転車で通り抜けています。ああそうだった、ここは自転車で通行できたんだと思い出した次第。今にして思えば、それを忘却し徒歩のため時間が多少かかったことも奇跡的な出会いの綾となったのかもしれません。まずは退蔵院、見どころは造園家・中根金作の設計による庭園、余香苑です。もちろん如拙の「瓢鮎図」もありますが、当然の如く拝見はできず、たしかレプリカが縁側に置いてあった記憶があります。それではまずお庭から拝見しますか。モミジはそれほど多くはありませんが、真っ赤に色づいたものが数本ありました。水琴窟に耳を傾け、余香苑を一望できるところへ下りていこうとすると、山ノ神がいつもの丸い目をさらに真ん丸くし口を開け硬直しています。「マ、マ、マ、マ、マ、マ…」 何だ何だ何が起こったのだ。彼女が指差す方を見ると、がたいのいい外国人男性が和尚と話しながら大儀そうに靴を履いていました。えっ              マイケル・ムーアだ。『ボウリング・フォー・コロンバイン』 『華氏911』 『シッコ』の映画監督マイケル・ムーアだ、間違いない。
 そういえば来日中だというニュースを聞いていましたが、まさか妙心寺退蔵院で出会えるとは。彼の大ファンであるわれら二人、場もわきまえず、手を取り合い「マイムマイムマイムマイムマイムマイム、ベッサンソン」と歌いながら踊ってしまいました。(筆者注:もちろん嘘ですが、そうしたい気持ちでした) もう感激感動感謝感銘。私は本人と出会えて、写真の端っこに写しただけで大満足なのですが、そこは倒れても土を掴む山ノ神。
c0051620_6295296.jpg

 「ねえねえツーショットを撮って」と、庭を見ていた彼に「あなたの映画に勇気づけられました」と流暢な英語で話しかけ、一緒に写真におさまってくれるよう所望。彼も気さくに優しく微笑み快諾。これでピンボケになったら一生恨み言を言われるだろうな、と緊張して震える手と指を落ち着かせ、何とか撮影に成功。そしてわれわれ二人の手を力強く握り、夫人とともに去っていきました。ああなんていい人だ、『キャピタリズム』は絶対見にいきますよ、監督! 興奮の余韻しばらくさめず、頬を紅潮させながらベンチに座り余香苑をぼーっと眺める二人。ほんとにピンポイントの邂逅でした。ちょっと早くてもちょっと遅くても、この機会は得られなかったでしょう。"Gottheit(神なるもの)"に心の底から感謝したいと思います。
 後日談。来日したムーア監督を取材したドキュメント番組を見ていたら、この時のエピソードが紹介されました。肥満のため椅子に座って座禅をした後、筆と墨で書道をしたそうです。外人向けに「愛」とか「無」などの漢字サンプルが用紙されているのですが、彼は書きたい漢字をリクエストしたとのことです。それは「中」、つまりmedium。彼らしいですね、納得です。

 本日の二枚です。
c0051620_6302350.jpg

c0051620_6304730.jpg

by sabasaba13 | 2010-12-11 06:31 | 京都 | Comments(0)
<< 京都錦秋編(22):妙心寺桂春... 京都錦秋編(20):東寺(09... >>