新春恒例の七福神めぐり、これまで
谷中、
浅草、
深川と歩いてきましたが、今年は日本橋七福神です。山ノ神が野暮用のため同行できないので、私一人、「
東京七福神めぐり」(東京街歩き委員会 NHK出版生活人新書053)を片手にいざ出発。東京メトロ半蔵門線「水天宮前」で降り、地上へあがるとすぐ目の前が水天宮、こちらには弁財天が祀られています。おおさすがは安産祈願で名高い水天宮、ご夫婦による初詣でしょう、たいへんな賑わいです。しかしその脇にある、弁財天を祀った祠のあたりは意外と閑散としています。あまり知名度が高くないためでしょうか。御簾越しに弁才天を撮影し、社務所で朱印および台紙の料金を確認すると、朱印の300円はまあぎりぎりの許容範囲だとしても、台紙2000円はぼったくり。というわけで今回は朱印なしですますことにしましたが、人気のない理由はここにもあると見たぞ。関係者諸氏には善処を要望します。なお日本橋七福神めぐり地図は無料ですが、「奉納/日本橋三越本店」とあるように、三越のコマーシャルがきっちりと書き込まれた代物でした。門前の出店では麻の葉柄の産着を売っていましたが、これはすくすく育つようにとの縁起物ですね。
そして新大橋通りを渡りますが、青空はクリアに澄み、鬱陶しく禍々しい自動車の往来も少なく、街はそこはかとない静寂に満ち、快適な気分です。われらが全知全能をかたむけて、路上にあふれる自動車をでき得る限り減らせば、こうした爽やかな雰囲気を日常的に味わえるのではないでしょうか。静かになるし、空気は汚れないし、交通事故は減るし、良いことずくめだと思いますが。次は布袋尊を祀る茶ノ木神社、街角にある小さな社殿です。こちらも参拝客は数人、行列に並ぶことなくご尊顔を拝めました。
そして人形町通りを渡り、大国神を祀る松島神社へ。こちらは商業ビルの一角にはめ込まれた、小さな神社です。
このあたり(人形町)は、戦前の物件らしき古い建物がけっこう残っていて、楽しく街歩きができました。
レストラン「芳味亭」や西洋料理「来福亭」など、ちょっと気になる料理店もあります。残念ながら正月休業でしたが、機会を見つけて食べてみたいものです。
また、チェーン店ではない地元資本の喫茶店もよく見かけました。中でも「快生軒」は、「創業大正八年(筆者注:1919年)」と謳う古豪です。こうした喫茶点が多いということは、職住一体、商店の旦那衆が暇つぶしに立寄るのでしょうね。「絶対に火事を消しわが町を守る」という断固たる意志をただよわせるドラム缶型防火用水が設置してあるのも、そうしたコミュニティ意識のなせる技でしょう。
さて、もらった地図によると、このあたりに「谷崎潤一郎生誕地」があるはずなのですが…おっあったあった。ビルの入口脇にプレートと解説板がありました。(中央区日本橋人形町1-7-10) それによると、彼は1886(明治19)年7月24日、この地にあった祖父経営の谷崎活版所で生まれ、阪本尋常高等小学校に入学、その後、父の事業の失敗により近くを転々としたそうです。
本日の二枚です。