小金井公園編(2):(05.4)

 ロータリーから左へ、いこいの広場を抜けてしばらく歩くとそこが歴史的価値の高い民家や商店、個人住宅や銭湯などを移築・展示してある江戸東京たてもの園です。前の池には、重なり合って甲羅干しをする亀たちが。この光景は小確幸(小さいけれど確固たる幸せ)です。さて中に入りましょう。
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 建築史家の藤森照信氏がプロデュースしただけあって、逸品ぞろい。思わずニヤリとしてしまうような建物がそろっています。東ゾーンの下町中通りは、「千と千尋の神隠し」のモデルとなった子宝湯を中心とした道の両サイドに看板建築(のっぺりとした板状の前面部=ファサードにモルタルや銅板製の装飾が施されている商店建築)が建ち並び、昔懐かしい人間くさくて薄汚れていてあったかい雰囲気にどっぷりと浸れます。ああ、やっぱりスターバックスコーヒーがないとホッとします。あれが一軒あるだけで、街の表情が金太郎飴のように平板になってしまうんだよなあ。私のお気に入りは、子宝湯に向かって右手にある武居三省堂(文具店)と花市生花店。木造三階建てのファサードに広がる遊び心に満ちた装飾の数々。こういう建物の存在を許さない文明にどんな意味があるのだろうと思います。その前にある植村邸の銅板に刻み込まれた、東京大空襲時の焼夷弾の破片が突き刺さった跡も見逃すことなかれ。
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 他にも、高橋是清邸(二・二六事件の際に、彼はこの家で殺害される)、常盤台写真館、下谷消防署望楼上部(なぜ壊してしまったの!)、モダニズム運動を主導した堀口捨巳設計の小出邸、典型的な出桁造りの小寺醤油店、風間(藤竜也)とお涼さん(篠ヒロコ)が見つめあっていそうな鍵屋(居酒屋)などなど。あっという間に時がたってしまいます。山ノ神のお気に入りは建築家前川國男の自宅。1942(昭和17)年という建築資材の入手困難な時期に竣工しながらも、吹き抜けの空間と壁面いっぱいのガラス窓・障子で開放感と明るさを演出した見事な建築です。「いつかこんな家を建ててみせるとね…」と左門豊作のように目に炎をたぎらせる山ノ神。インシャラー(神が望み給うなら)。
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 本日の二枚は、子宝湯と三省堂・花市生花店です。
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by sabasaba13 | 2005-04-28 06:14 | 東京 | Comments(0)
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