クロアチア編(1):前口上(10.8)

 2010年の八月、山ノ神とクロアチア、スロヴェニア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナを旅してまいりました。実は昨年、個人旅行で訪れる予定だったのですが、二身上の都合で泣く泣く取りやめ。再挑戦とあいなった次第です。今年も個人旅行で行くつもりでしたが、インターネット上の旅行記でいろいろと調べてみると、移動手段がどうやら一筋縄ではいかないことが遅まきながらわかってきました。鉄道網が整備されておらず本数も少なく、バスが主要な交通手段であるということは調査済みでしたが、「四時間待った」「予定よりも早く来たので乗れなかった」等々の記事を読むとタイガー・ジェット・シンの間近にいるリングサイドの観客のように腰が引けてしまいました。中には「クロアチアでは四十分前行動が鉄則」などという指摘も。シェルパの如く山ノ神の重いトランクを運んだけれどバスが来ず、ぶつぶつ文句を言われたら旅情の"り"の字もありませぬ。ここは一つ、パック旅行で事を穏便に済ませようと恐る恐る山ノ神にお伺いをたてると、ポンッ、「よかろう」というご神託がでました。というわけで、今回はギリシア以来となるパック旅行で行くことに決定。さてそれではどういうツァーにしましょう。絶対に外せないのはブレッド湖(スロヴェニア)とドブロヴニク、プリトヴィッツェ国立公園(クロアチア)。日程と料金と内容をいろいろ調べていると、この三カ所に加えてサラエボ(ボスニア・ヘルツェゴヴィナ)も訪れる14日間のツァーがありましたが、満員。次善のものとして目をつけたのが、阪急旅行社主催の「trapics」という企画で、十日間のコース。サラエボに行けないのは残念ですが、クルカ国立公園(クロアチア)があるのでまあよしとしましょう。一日目:ウィーン→グラーツ→ブレッド泊、二日目:ブレッド湖→ポストイナ鍾乳洞→オパティア泊、三日目:リエカ→ザダール→シベニク泊、四日目:クルカ国立公園→スプリット→ドブロヴニク泊、五日目:ドブロヴニク→コトル→ドブロヴニク泊、六日目:モスタル→プリトヴィッツェ泊、七日目:プリトヴィッツェ国立公園、八日目:ザグレブ泊、九日目:クラーゲンフルト→ウィーン、十日目:帰国、という強行軍・満艦飾・満漢全席。重いコンダラを曳きながらの旅になりそうです。前年に購入したガイドブック、『地球の歩き方 クロアチア スロヴェニア』(ダイヤモンド社)、『クロアチア 世界遺産と島めぐり』(ダイヤモンド社)、『旅名人ブックス84 クロアチア スロヴェニア ボスニア・ヘルツェゴヴィナ』(日経BP)を読み直し、すべて持参することにしました。なお余談ですが、『旅名人ブックス』は充実した内容のたいへんな優れもの、かさばって重いのが唯一の瑕疵ですがお薦めします。添乗員さんのガイドもこの本からの受け売りが多くありました。悔やまれるのは『旅の指さし会話帳 クロアチア』(情報センター出版局)を忘れたこと、これがあると現地の方々とすぐに仲良くなれたのに。そしてもっと悔やまれるのは、ユーゴ内戦について忙しさにかまけてきちっと学んでおかなかったこと。出発直前に慌てて『ヨーロッパの歴史 欧州共通教科書』(東京書籍)とスーパーニッポニカ(小学館)の該当部分を流し読みしただけでした。ま、たまたま読んだ「帝国・国家・ナショナリズム 世界史を衝き動かすもの」(木村雅昭 ミネルヴァ書房)に関連した詳しい叙述があったので、それでよしとしてしまいました。今頃になって『ユーゴスラヴィア現代史』(柴宣弘 岩波新書445)と『「民族浄化」を裁く -旧ユーゴ戦犯法廷の現場から』(多谷千香子 岩波新書973)を読んでいるのは、泥縄、六日の菖蒲十日の菊もいいところですが、読まないよりはましでしょう。老婆心および余計なお世話ながら、これから旧ユーゴスラヴィア方面に旅行される方は、関連図書を一読されたほうがよいと思います。後に触れますが、内戦の傷跡が生々しく残る物件が多々ありました。知ると知らないとでは、そこから受ける印象も大きく違ってくると思います。そんなことは風馬牛という方がいたら、縁なき衆生は度しがたしと嘆息するしかありませんが。そして旅行に持参した本は、『ポストモダンの共産主義』(スラヴォイ・ジジェク ちくま新書852)と『田中正造文集(一)』(岩波文庫)。これはまったくの偶然なのですが、ジジェクはスロヴェニア出身なのですね。

 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2011-08-26 14:49 | 海外 | Comments(0)
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