そして大聖堂の前を通り過ぎ、路地を抜けると海が見えてきましたが、ここが旧港(オールド・ポート)。数多のボートが繋留されており、島めぐりの遊覧船もここから出航します。さまざまなクルーズのチケットを売るブースが林立しており、よりどりみどり、うん、自由行動になったら是非乗ることにしましょう、ねっ、と振り返ったら山ノ神の姿が見えません。きょろきょろ… おっ各ブースをまわってパンフレットをもらいながら1クーナでも安いクルーズを物色していました。恐れ入谷の鬼子母神、さすがは糟糠の妻です。ここにある三連アーチの入口が印象的な大きな建物がアルセナル、かつての造船所です。往時は造船業もさかんで、ドブロヴニクの船を手に入れるには数十年待たねばならなかったそうです。そういえば、ヴェネツィアにもアルセナーレという大きな造船所があったことを思い出しました。ドブロヴニクとヴェネツィアが地中海交易の覇権を競ったのも、そして17世紀にオランダがヘゲモニー国家となったのも、さかんな造船業の賜物であったことを納得。
旧港のとなりにある小さな広場で本日の昼食をいただくレストランを確認し、門をくぐると右手から古風な服装をした三人組が闊歩してきました。鼓手が先導して、槍を手にした二人が続きます。かつてはこうした警備兵が町を巡回していたのでしょうね。
そして城壁への入口で入場チケットを渡されお待ちかねの自由行動、一時間半後に旧港そばの広場に面したレストラン集合ということで解散となりました。それではドブロヴニク観光、最大の目玉、城壁を歩くことにしましょう。一周が約2キロ、13世紀から17世紀にかけて数世紀をかけて絶え間なく補強され続けてきたもので、数箇所に堅固な要塞が配置されています。石段をのぼって城壁の上に出ると、息を呑むような素晴らしい眺望が開けてきました。城壁の中を埋めつくす古い家並み、まるで抽象絵画のように空間を飾るオレンジ色の屋根と灰色の石壁といろいろな形の窓、アクセントのように屹立する教会と鐘楼、城壁の外はアドリア海と島々、もう言葉にするのが恥ずかしいような光景です。ただ見ているだけで幸せ… 惜しむらくは曇天のため色の鮮やかさにやや欠けることですが、雨が降っていないだけで御の字です。たくさんの観光客のみなさまも、喜色満面で写真を撮りまくっていました、もちろん私も。それでは、のんびり・ゆっくり・じっくりと城壁を一周することにしましょう。なお混雑を緩和するため、歩く方向は一方通行に規制されています。
本日の四枚です。