クロアチア編(48):プリトヴィッツェへ(10.8)

 後日談です。NHKが放映した「世界遺産への招待状」(2010.10.30)で、スタリ・モスト(古い橋)に関するエピソードを知ることができました。水面まで約20mある、この橋からの飛び込みを競う大会はすでに400回を越え、モスタル市民にとっては大きなイベントでした。ムスリム人、クロアチア人、セルビア人といった民族の枠を越えて、男たちが互いの勇気を称えながら和気藹藹と参加したそうです。しかし内戦、橋の破壊と復元、飛び込み大会も復活しましたが、クロアチア人の参加者はほとんどいなくなりました。参加者の一人であったあるクロアチア人青年は、そのためにクロアチア人たちから悪意ある非難を受け、今後の参加には二の足を踏んでいます。チャンピオンである、あるムスリム人青年は、何とかして昔のような民族を越えた大会にしようと、彼に参加を呼びかけます。逡巡しながらも勇気をふるって練習を始めた彼の姿を見つめる、一人のムスリム人の老人がいました。かつてのチャンピオンですが、彼の弟は内戦の際にクロアチア人に狙撃されて殺されています。インタビューに対して、涙ぐみながら「復讐をするつもりはないが、二度と彼らとは接触したくない」と彼は語ります。しかし黙々と練習を続けるクロアチア人青年を見つめているうちに心の中で何かが生まれたのでしょうか、彼のところに近づきアドバイスをします。「初めの一歩を踏み出す勇気が大事だ」と。そして大会当日、クロアチア人としてただ一人参加し、飛び込んだ彼に対して、観衆は惜しみない拍手を捧げました。彼を誘ったムスリム人青年はこう言います。「民族を分ける橋ではなく、民族をつなげる橋であってほしい」 和解のためには、飛び込みのように、最初の一歩を踏み出す勇気が必要なのですね。
 そして駐車場にある有料のトイレで用を済ませ、バスに乗り込みました。これからプリトヴィッツェまで距離にして約335km、時間にして五時間半の長距離移動です。一時間ほどで、クロアチアへの国境に到着、ボスニア側では検査官がバスに乗り込んできてパスポート・コントロール、その時運転手のルイスさんが冷えたペットボトルを二本検問所に差し入れするのが見えました。蛇の道は蛇、国境によっていろいろな作法があるのかもしれません。クロアチア側ではチェックはありませんが、係官がバスのトランクを開けて中をチェックしていました。そしてバスは一路、プリトヴィッツェをめざします。しばらくは、なだらかな山なみが延々と続く広大な風景が広がります。
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 モスタルから二時間ほど走りサービス・エリアで一回目の休憩、雲じいの薫陶を受け、最近はまりつつある「公園アニマル」を撮影。河馬? ムーミン? 正体不明の物件でした。そして出発、買ってきた飲み物を置こうと前にあるテーブルを下げると、そこにはがありました。
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 しばらくすると車内放送で添乗員さんから「クロアチア・スロベニア 旅の思い出 スワロフスキー クリスタルの輝き」と称するクリスタル・ペンダント販売のお知らせがありました。あの手この手と旅行業者もたいへんですね、もちろん買いはしませんが。
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 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2011-10-31 06:18 | 海外 | Comments(0)
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