隠岐編(14):西郷(10.9)

 それではもうすこし町歩きを楽しみましょう。ここ西郷は、北前船の風待ちの港としてかつては殷賑を極めたそうです。さきほど高速船で港に向かっている時によくわかったのですが、湾が大きなYの字のように内陸に食い込んでいます。これは船にとって絶好の待機および避難所ですね。八尾川にかかる天神橋から河上を眺めると、たくさんの漁船が繋留されています。残照をほのかに映す川面を見だしながら、一艘の漁船が海へと向かっていきました。川に沿って上流の方へと歩いていくと、あるお宅の軒の下に丸太がかざされています。これは古典相撲の柱だそうで、解説板を引用しますと、「隠岐古典相撲の勝者に贈られる柱です。柱を贈られていることから柱相撲と呼ばれます。また、隠岐の古典相撲は一番とられ、二番目の対戦では最初に勝ったものが必ず負けることから人情相撲とも呼ばれています。勝者は有志に担がれた柱にまたがり凱旋し、その後柱はこのように軒下につるされます」とのこと。敗者には何も与えず勝者がすべてを手に入れる、競争原理主義社会に生きているわれわれから見ると何とも羨ましい慣行です。でも人間ってほんとうはそんな骨身を削るような競争には嫌悪を感ずる存在なのではないかな、と思ったりもします。
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 「のんびりやろうぜ」と微笑みかけるようなフェイスをハンティングし、モダンだけれども古色をおびた理髪店を撮影していると、そろそろ夕闇が迫ってきました。ホテルの近くにある食事処「りょうば」で美味しい海鮮丼をいただき、寝酒を仕入れて部屋に戻りました。
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 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2011-12-13 06:20 | 山陰 | Comments(0)
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