「DAYS JAPAN」

 「DAYS JAPAN」五月号を観了・読了。カメラマンの広河隆一氏が責任編集をするフォトジャーナリズム月刊誌です。「一枚の写真が国家を動かすこともある」という副題にあるように、今世界で起きている現実を写真によって報道し状況を変える一石になろうという志をもった月刊誌です。今月号は「DAYS国際フォトジャーナリズム大賞特大号」ということで、受賞作品を特集しています。インドの津波、リベリア危機、火傷・四肢麻痺・失明といった重症を負った米軍イラク帰還兵の肖像、中国の薬物常習者、民族浄化のためにスーダンの女性をレイプするアラブ系民兵、横浜寿町の日雇い労働者、日本軍「慰安婦」として中国に連行されたまま帰国できない朝鮮人女性、といった作品が掲載されています。特に印象的だったのはイラク帰還兵の空ろな目・表情と、そのインタビューです。軍隊に入った理由として、ある者は「故郷には何もなかった。まともな仕事なんか全然なかったから、こっちの方がいいと思ったのさ」と、またある者は「当分宿題をやりたくなかったし、それに何というか、かっこいい制服を着られると思ったんだ」と語ります。驚いたのは、彼らの多くが前線に戻りたいと訴えていることです。戦場でしか生きる意味を見出せないアメリカ人が確実に増えているということですね。ちょうど第一次世界大戦後のドイツ青年たちのように。やがて彼らがナチズムの受け皿になっていったのですが…
 誰かが「人類はもう半分滅亡している」と言っていましたが、世界に満ち満ちる悲嘆、災厄、不正、狂気、暴力、人間の荒廃をあらためて毎月思い知らせてくれます。そしてそれに気づかず、あるいは気づかないふりをして、日々を満喫しているわたしたち。世界は確実にアウシュビッツ化しています。当時のドイツ人の多くが強制収容所の存在に気づいてはいたが、気づかないふりをしていたそうです。現代の状況と同じですが、違うのは強制収容所はドイツ占領地に孤島のように散在していました。現代は地球という巨大な強制収容所に、楽園のような「先進国」が散在しています。わたしたちは地球という強制収容所の看守のような存在かもしれません。そしてその「先進国」の内部にも階級という強制収容所が建設されつつあります。じゃあどうすればよい? 思考を停止することだけはやめましょう。年間購読を一年延長しました。

 連載されている斎藤貴男氏の「メディア・チェック」という殻口のコラムも楽しみにしています。今月号は、小泉政権の構造改革路線をこう評しています。
 福祉や教育までも市場原理に放り込み、世の中のすべてを多国籍企業の利益に収斂させる"政治理念"は、その非道さにおいて、従来の土建屋政治を凌駕する。新自由主義に較べれば、あれにはまだしも一定程度の富の再分配機能が伴っていた。
 グローバリゼーションの説明としても的確な文章ですね。ジャーナリストの文章力はこうであってほしい。敬意を表します。
by sabasaba13 | 2005-05-13 06:14 | | Comments(0)
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