瀬戸内編(23):イサム・ノグチ庭園美術館(11.3)

 まずはイサム・ノグチとこの美術館について簡単な紹介をしておきます。イサム・ノグチ(1904~88)。アメリカの現代彫刻家。英文学者で詩人の野口米次郎と、作家レオニー・ギルモアとの間に生まれ、少年期は日本で育つ。渡米した後、彫刻家 を志し、アジア・ヨーロッパを旅して見聞を広めた。パリでは彫刻家ブランクーシの助手をつとめる。ニューヨークに居を定め、肖像彫刻、舞台美術をへて環境彫刻やランドスケープ・デザインにまで幅広い活動を開始する。戦後は日本でも陶器作品や、和紙を使った「あかり」のデザインなどを行う。その後、アメリカ国内外の各地で、彫刻、モニュメント、環境設計を続け、文字通り「地球を彫刻した男」と呼ばれる。1988年12月30日ニューヨークで没。その彼が庵治石と屋島・五剣山とこの地の石工の技術に惹かれて、ここ牟礼にアトリエをかまえ一年のうち数ヶ月を必ず過ごしたそうです。そして生前から自分の作品を展示する庭園美術館としても構想し、設計・作品の配置をてがけていました。そのアトリエ・作業場・住居・庭園・美術館が渾然一体となったものが、ここイサム・ノグチ庭園美術館です。開館は週に三日のみ、往復葉書で予約、見学は案内にしたがい一時間、入館料二千円。なお著作権はNYの財団が所有しているので写真撮影は禁止です。
 受付のある建物に行くと、前回は四人だったのに、十数人の方が待っておられました。彼の芸術がじょじょに認知されてきたのでしょうか。予約確認の葉書を渡し入館料を支払うと、目印として胸につける小さなシールをもらいました。彼が作品に刻んだサイン、"I.N."ですね。ここで販売されている、彼のデザインした照明「あかり」を眺めていると、見学時間となりました。
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 まず係の方から諸注意を受け、案内に従ってぞろぞろと移動します。まず前半の30分は美術館の見学です。入口は、鍵もついておらず、簡単に乗り越えられる竹製の戸。これもイサム・ノグチの考案なのでしょうか。だとしたら、いかにも彼らしいアイデアです。ずらした戸から中に入ると、古い民家を利用した展示館、作業場、野外展示されている彼の作品群があります。こちらで三十分の自由時間、みなさん三々五々ばらけましたが、私は山ノ神を連れて係員の後についていきました。そう、前回経験したあの劇的な瞬間を彼女にも味わってもらいたいがためです。展示館の中に入り、係りの方が大きな引戸をごろごろと次々に開けていきます。じょじょに差し込む陽の光。そして最後に一番奥の引戸を開けると、差し込む陽光とともに彼の代表作「Energy Void」がじょじょに浮かび上がってきます。荘厳にして劇的な一瞬、山ノ神も息を呑んだように引きつけられていました。黒色花崗岩でできた高さ3.6mの、微妙に捩じれた縦に細長い"口"の形をした大きな彫刻。見る角度で千変万化する表情、間の手で磨き上げた温もりに溢れた黒褐色の表面、時を忘れてしばらく見詰めてしまいました。後はわれわれも自由行動、今にも彼がふらっと現れそうな戻ってきそうな、当時のまま保存された作業場や作品群を拝見しました。なお作品名・制作日時等の表示は一切なし。作品そのものから何かを感じ取って欲しいという彼の要望だそうです。

 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2012-08-27 06:24 | 四国 | Comments(0)
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