大井川鐡道編(17):静岡(11.5)

 大井川に沿って列車はひた走り、一時間強で新金谷駅に到着。ここから、東海道の宿場金谷を歩いてJR金谷駅に向うことにしました。こちらの駅舎は下見板張りで木造のなかなかモダンで洒落た物件、リズミカルに並ぶ縦長の窓がいいアクセントになっています。調べてみたところ、竣工は1931(昭和6)年でした。二重×の透かしブロックを撮影し、すこし歩くと建物部分が倒壊したのか屋根のみとなっているお宅を見かけました。お住まいの方は無事だったのでしょうか。橋を渡ると、川の上には無数の鯉のぼりが薫風を腹いっぱいに吸込んでたなびいていました。
大井川鐡道編(17):静岡(11.5)_c0051620_6133465.jpg

 そして目抜き通りへと着きましたが、このあたりが東海道沿いの宿場だったのでしょうか。古い建物など往時を彷彿とさせる物件はなく、人通りもまばら。私が応援する東京スワローズの青木宣親選手のポスターが寂しげに微笑んでいるだけ。ちなみに彼のプチ自慢は日向市民栄誉賞第一号だそうです。駅前には「自転車・カブ預り所」という看板、カブ? 一瞬空気が凍りましたが、もしやホンダのオートバイ、カブのことかしらん。ご教示を乞う。なおウィキペディアによると、この車名は熊などの猛獣の子供を指す英語のCubに由来し、小排気量ながらパワフルなオートバイをアピールした命名だそうです。
大井川鐡道編(17):静岡(11.5)_c0051620_614627.jpg

 さてせっかくここまで来たのですから、富嶽に挨拶をして帰郷したいもの。持参したガイドブックを紐解くと、東静岡駅近くに磯崎新が設計した「グランシップ」という文化施設があり、10階展望ロビーから富士山を一望できるそうです。磯崎氏といえば世界的な建築家であると同時に、東京国際フォーラム・都庁舎・木場の現代美術館・両国の江戸東京博物館・池袋の芸術劇場を「東京五大粗大ゴミ」と一刀両断した方ですね。よし、寄ってみましょう。JR金谷駅から東海道本線に乗ること四十分ほどで東静岡駅に到着、駅前に屹立する船のような巨躯がすぐに眼に入りました。ビルとなりの植え込みには「立入禁止 屋根石材落下のおそれがあり危険なため、植栽内へは絶対に立ち入らないでください」という注意書き。おいおい、なんてやわな造りなんだ。中に入り、エレベーターホールに行くと、催物の都合で展望ロビーへの立ち入りはできないというつれない立て札がありました。やれやれ♪EVERYTHING HAPPENS TO ME♪ですね、いたしかたない。静岡駅へ戻って、静岡おでんをやけ喰いすることにしましょう。
大井川鐡道編(17):静岡(11.5)_c0051620_6142681.jpg

 静岡駅構内にあった「海ぼうず」というお店で、静岡おでんと、桜エビのかき揚げと、生しらすと、黒はんぺんのフライを所望。なお「静岡(しぞーか)おでんの会」によると、その特徴は、壱.汁が茶色がかっている、弐.静岡名物「黒はんぺん」は必須具材、参.青のり・かつおぶし・味噌たれをお好みで、というものだそうです。黒はんぺんは初体験でしたが、魚の旨味が濃厚ななかなかいける味でした。サバとイワシを使ったつみれに近い練り物で、骨も皮も取り除かずに使うので、色が黒く、カルシウムが豊富だそうです。ビールをくいっくいっと飲みながら、満艦飾の如く眼前に並べられた料理を完食、ああおいしかった。そして静岡駅から新幹線に乗って一路帰郷。やっぱり旅は面白い、「静岡おでんの会」のキャラクターふじまる君の座右の銘は"NO ODEN,NO LIFE"だそうですが、わたしゃ"NO JOURNEY,NO LIFE"です。
大井川鐡道編(17):静岡(11.5)_c0051620_6151644.jpg


 本日の一枚です。
大井川鐡道編(17):静岡(11.5)_c0051620_6153191.jpg

by sabasaba13 | 2012-10-30 06:17 | 中部 | Comments(0)
<< 「"私"を... 大井川鐡道編(16):奥大井湖... >>