山形編(15):米沢(11.8)

 そして米沢駅の近くにあるグループホーム「結の木」に寄ってもらい、スポーツバッグいっぱいの食器類を被災者の方に寄付してくださいと担当の方に依頼し、寄付金もさしあげました。米沢駅に向かう間に、運転手さんに大事な質問。「安くて美味しい米沢牛を食べさせてくれるお店を教えてください」 現地の飲食店に関する情報を得るのに、タクシー運転手に如く方はおりません。氏、即曰く、「金剛閣がいいですよ」 はい、決まり、そこで昼食をいただくことにしましょう。駅で下ろしてもらい、丁重にお礼を言って運転手さんとお別れ。ここからは自転車を借りての散策です。駅前には、「なせば成る なさねば成らぬ何事も ならぬは人の なさぬなりけり」と記された上杉鷹山のご当地電話ボックスがありました。足元には「米沢の味ABC」と記されたタイル、ちなみにApple、Beef、Carpでした。
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 駅前にあるホテル音羽屋本館は、屋根の上の鯱、千鳥破風、連続する花頭窓、アーチ状の入口など、満艦飾のキッチュな意匠であふれかえる物件。そして住之江橋を渡りますが、ここからの眺望がなかなか素敵です。松川の流れと川岸をつつみこむ緑、そして遥かなる山なみ。明治初期にこの地を訪れた大旅行家、イザベラ・バードが『日本奥地紀行』(平凡社ライブラリー 329)の第18信でこう述べているのも宜なるかな。
 米沢平野は、南に繁栄する米沢の町があり、北には湯治客の多い温泉場の赤湯があり、まったくエデンの園である。「鋤で耕したというより鉛筆で描いたように」美しい。米、綿、とうもろこし、煙草、麻、藍、大豆、茄子、くるみ、水瓜、きゅうり、柿、杏、ざくろを豊富に栽培している。実り豊かに微笑する大地であり、アジアのアルカデヤ(桃源郷)である。自力で栄えるこの豊沃な大地は、すべて、それを耕作している人々の所有するところのものである。彼らは、葡萄、いちじく、ざくろの木の下に住み、圧迫のない自由な暮らしをしている。これは圧政に苦しむアジアでは珍しい現象である。それでもやはり大黒が主神となっており、物質的利益が彼らの唯一の願いの対象となっている。
 美しさ、勤勉、安楽さに満ちた魅惑的な地域である。山に囲まれ、明るく輝く松川に灌漑されている。どこを見渡しても豊かで美しい農村である。…草ぼうぼうの「なまけ者の畑」は、日本には存在しない。(p.218)
 えてして、このアルカディアを無惨にも破壊した御仁たちが"愛国心"を持てと声高にがなりたてるのですから、やりきれません。

 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2012-12-10 06:19 | 東北 | Comments(0)
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