山形編(43):山居倉庫(11.8)

 館外へ出ると、雲を残しながらも青空が見えています。出羽大橋からは、雲をかぶった鳥海山も月山も遠望できました。"雲の峯いくつ崩れて月の山"…
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 そして酒田観光の目玉、山居倉庫に到着です。12棟からなる土蔵の倉庫群で1893(明治26)年に旧庄内藩酒井家の監修の元、酒田米穀取引所の倉庫として建てられましたものです。米を保管するということで、屋根を二重に組み太陽光が直接屋根に当たらないよう工夫し、屋根と土蔵の間に空間をつくって風を吹き込ませ温度の上昇を防いでいるそうです。また倉庫の背後に欅を植える事で、日本海からの強風や西日の直射日光を遮る役目を果たさせています。この景観が、よく観光ポスターで見られるものですね。連続する三角屋根の切妻と黒板、そして緑なす欅の古木、やはり絵になる光景です。
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 なお「山居」とは、舟の積み降ろしに便利な、最上川と新井田川とに挟まれた山居島に建てられたところから名付けられたとのこと。内部の一画は庄内米歴史資料館となっているので入館してみると、「おしん」の像がお出迎え。山居倉庫のジオラマや庄内米に関する資料が展示されていました。レプリカの俵を担いでみようというコーナーがあったのでさっそく挑戦、青息吐息でやっとこさ60kgがすこし持ち上がりました。解説によると、昔は女性が米俵の運搬を担当し、「女丁持(おんなちょうもち)」と呼ばれたそうです。中には五俵(300kg!)を担いだ剛の者もいたとか。いやはや、感服仕ります。
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 さて俵を担いだのでさらにお腹がへりました。自転車にまたがり、満を持して「満月」へ。新栄橋を渡ると、さっきは見えなかった鳥海山の山容が拝めました。午後二時半ということで、さすがに大行列は解消されていました。それでも中にはけっこうお客さんがいましたので、よほどの人気店なのですね。さっそくワンタンメンを注文。おお来たか、くるしうないぞ、ちこう寄れ、ずるずる… あれーご無体な、ではなくて…お、い、し、い。としか言えません。ワンタンは皮が命、そして皮の薄さが大事と断言する店主。パンフレットによると、薄いほどスープをよく吸い、また口中での舌触りや滑らかさもその薄さに比例するそうです。なんと生地を650mまで延ばすとか。贅言はやめましょう、その妖艶なまでの舌触りにただ己を埋没させ、愉悦の境地に無心で耽るのみ。こちらのワンタンを食べるためだけに酒田に行ってもいいくらいです。再訪を約しましょう。
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 さて次なるはすぐ近くにある本間家旧本邸へ。そう、「本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に」と唄われた日本最大の地主ですね。ウィキペディアによると、海運業や金融業で得た巨利を土地の購入に当てて大地主となり、庄内藩や米沢藩の財政改革をも支えたそうです。しかし明治以後は起業には不熱心で財閥化せず、相変わらずの大地主でしたが一地方企業家にとどまったとのこと。この本邸は、幕府の巡見使宿舎のために建造して庄内藩酒井家に献上したもので、後に酒井家から拝領される形をとっています。仏間の装飾や釘隠しの意匠、材木の質などを見るとたいそうなお金がかかっているのは分かりますが、思ったよりは全体的に質素な造りです。江戸時代でしたら、身分制度の故と納得できるのですが、近代以降も華美な改修をしなかったのでしょうか。なお残念ながら、室内は撮影禁止でした。美しいものを写真におさめておきたいというのは人情、入場料を支払っているのですからせめてその理由を明らかにしてほしいものです。著作権が本間財団にあるとか、絵葉書の販売促進のためとか、写真に撮られると権威に傷がつくとかね。関係諸氏のご一考を期待します。
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 そのそばにあるのが旧鐙屋。酒田を代表とする廻船問屋で、井原西鶴の『日本永代蔵』巻二の「舟入馬かた鐙屋の庭」に、「爰に酒田の町に、鐙屋といへる大問屋住けるが、昔は纔なる人宿せしに、其身才覚にして、近年次第に家栄え、諸国の客を引請、北の国一番の米の買入れ、惣左衛門といふ名を知らざるはなし。表口三十間裏行六十五間を、家蔵につけ、台所の有様、目を覚しける」と紹介されているそうです。江戸時代の酒田では、この鐙屋や本間家などが町政を司る自治組織をつくっており、酒田三十六人衆などと呼ばれていました。現在の建物は1845(弘化2)年の甘鯛火事の被災直後に再建されたものと伝えられています。土間・座敷・板の間が整然と並び、商売という機能に徹した質実な造りが印象的。なお係の方に教えていただいたのですが、杉皮で葺いた屋根に石を乗せるというのが、酒田の町屋造りだそうです。地上からは視認しづらいのですが、火災対策、あるいは強風対策なのでしょうか。
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 本日の七枚です。
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by sabasaba13 | 2013-01-18 06:19 | 東北 | Comments(0)
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