九州編(25):蒲生の大クス(11.9)

 それでは蒲生の大クスへと連れていってもらいましょう。蒲生の町中に入ると、立派な石垣をよく見かけます。なるほど、こうした技術がさきほどの凱旋門に生かされたのですね。そして十分ほどで蒲生八幡神社に到着、境内の一画に言語を絶するような偉容の大楠がありました。まるで大地から盛り上がったかのような樹幹は無数の凹凸を有し、その枝ぶりは空を覆いつくせんとしています。これは凄い…その神々しさに圧倒されてしまいました。解説板によると、推定樹齢1500年、樹高30m、根廻り33.57m。1988(昭和63)年に行われた環境庁の巨樹・巨木林調査によって、日本一の巨樹とされたそうです。ま、そういう調査はけっこうなことですが、その間環境庁は水俣病の解決に向けて誠心誠意、全力を尽して努力をしていたのでしょうか。それはともかく、この巨木は一見の価値がありますね、お薦めです。
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 タクシーに戻ると、運転手さんが駅へ戻る途中に龍門滝があるので寄っていきましょうかとオファーをしてくれました。滝フリークとして見逃せません、寄ってもらうことにしました。蒲生から二十分ほど走ると滝見物のための駐車場に到着、タクシーにはここで待機してもらい細い道を徒歩で数分歩いていきます。すると展望所にたどりつき、魁偉な岩肌に沿って、しぶきをあげながら幾筋も流れ落ちる滝をほぼ正面から眺めることができました。爽快な冷気を肌に感じながら写真を撮影。車に戻ると、運転手さんが説明してくれるには、滝の上には「龍門司焼」という黒薩摩の窯場があるそうです。朝鮮出兵の際に、大名たちが争って磁器を焼く陶工たち職人を拉致・誘拐した史実は有名ですが、島津義弘もその一人。彼が加治木に移り住んだときに、その陶工たちも共に移住、現在に至るまで薩摩焼をつくっているそうです。ああ、故郷忘じがたく候、ですね。窯場フリークとしては是非寄りたいところですが、いかんせん肥薩線の汽笛の音が私を誘います。ここは断腸の思いで駅へと向かってもらいましょう。車窓からふと左手を見ると、もこっと盛り上がったまるでお子様ランチのような山が見えました。運転手さん曰く、溶岩が噴き上げ周囲が陥没してできた蔵王嶽という山で、標高は164m、姶良市の名物となっているそうです。頂上まで登れますが、なんと個人が所有しているお山だそうです。
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 そうそう、申し遅れましたが、このあたりは姶良(あいら)市、そう業界では(ツッコミ:何の業界だ)"姶良カルデラ"が有名ですね。スーパーニッポニカ(小学館)から引用します。
 鹿児島湾の北端に位置する東西約23キロ、南北約17キロ、面積約430平方キロのカルデラ。1943年(昭和18)に地質学者松本唯一が提唱した九州中部から南部に連なる阿蘇型大カルデラ群の一つ。
 更新世(洪積世)末期(約2万年前)に火砕流が大規模に発生し、約150立方キロのシラス(南九州に広く分布する軽石質の火山灰砂)が噴出した結果、山体が陥没してできたと考えられ、のちにその南東縁寄りに桜島火山が誕生した。
 それがどうしたと言われたら、以前の私でしたら♪俺の目を見ろ何にも言うな♪と逃げを打つのですが、男子三日会わざれば刮目して見よ、もう昔の私ではありません。『日本の歴史① 日本史誕生』(佐々木高明 集英社)を読んで知ったのですが、実はこの姶良カルデラから噴出した火山灰は考古学的に大きな意味を持っているのですね。「姶良Tn火山灰(AT)」と名づけられたこの火山灰の分布は、なんと東北南部、朝鮮半島から日本海の海底にまでおよび、さらに放射性炭素年代測定法によってその噴出が二万二千~二万千年前ごろであったことが確認されました。つまりこのAT層は時間の指示層として利用することができ、これによって各地の後期旧石器時代の文化層において信頼度の高い年代が得られるようになったそうです。

 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2013-02-21 06:19 | 九州 | Comments(0)
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