朝目覚めてカーテンを開けるとお日様が微笑んでいました。どうやら雨の心配はなさそうです。本日は足尾銅山の史跡めぐりと吾妻峡散策の予定です。わたらせ渓谷鐡道に乗って通洞駅へ、そしてタクシーを利用するつもりですが、いかんせん列車の本数が少ないうえに、途中の大間々駅止まりの列車もあります。事前に検討した結果、6:39発の間藤行き始発列車に乗ることにしました。チェック・アウトのためにエレベーターに乗ると片隅に小さな三角柱型の箱が置いてあります。なんじゃらほい? ポスターを見ると「エレベーターチェア」、地震で閉じ込められた時のための水、簡易トイレなどが内蔵されているそうです。なんでも2005(平成17)年に起きた千葉県北西部地震(M6.0 震度5強)では、救助にかかった最長時間は3時間5分。地震・停電・故障の際には大切なお客様を守るため、ふだんはお年寄りや妊婦さんへの心づかいとして設置されているとのこと。なるほどねえ。
チェック・アウトを済ませて桐生駅へ、わたらせ渓谷鐡道のホームに行き、6:39発の間藤行き始発列車に乗り込みました。なお駅員さんのご教示により、割安となる「わたらせ渓谷鐡道一日フリーきっぷ」を購入。水沼駅では列車待ち合わせのため八分ほど停車、列車から下りると駅舎に「温泉センター」が併設されていました。"いい旅夢気分"というわけにもいかないので、写真におさめて列車に戻りました。ま、生来、烏の行水ですので未練はありませんが。
次の花輪駅には、古い小学校校舎を保存した「旧花輪小学校記念館」があるそうですが、時間の関係で寄れません。こちらには後ろ髪を引かれたので再訪を期しましょう。列車は渡良瀬川に沿ってのんびりと北上、紅葉にはまだ早いようですが、車窓を流れる渓谷の風景を楽しんでいると通洞駅に到着。桐生から一時間半ほどかかりました。
幸い、駅前でタクシーが客待ちをしていたので、運転手さんに頼んで二時間貸し切りにしてもらい行程を説明。まずは簀子橋堆積場を遠望できるところに連れていってもらいました。駅から数分ほど走って、渡良瀬川の対岸に着くと、町を見下ろすように巨大なロックフィルダムが谷をふさいでいます。あれが、足尾銅山の廃石を堆積している簀子橋堆積場ですね。前掲書によると現在も使用され、その堆積量は300万立方㍍超。足尾は関東地方では三大豪雨地のひとつといわれ、また活断層もあるそうです。もしこの堆積場が決壊したら、いったいどのような惨事が起こるのか身の毛がよだちます。またDAYS JAPAN 2011.12月号に掲載されていた「どうするどうなる除染」(おしどりマコ・ケン)によると、3月11日の東日本大震災のときに、同じく足尾にある源五郎沢堆積場が決壊して、足尾銅山の鉱毒汚染物質が渡良瀬川に流れ込み、下流の農業用水の取水点で、基準値を超える鉛が検出されたそうです。足尾鉱毒事件はまだ終わっていないという厳然たる事実を前にして、身もすくむ思いです。
本日の三枚です。