足尾鉱毒事件編(23):大胡駅(11.11)

 途中にあった選鉱所跡や鉱山関連施設の廃墟などを撮影し、通洞駅へと戻りました。
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 運転手さんにお礼を言い料金を支払って下車。列車が来るまで少々時間があるので、足尾銅山観光のあたりまで散策をしました。銅山閉山後、古河鉱業が足尾地域振興を約束しましたが、実行はしませんでした。そのため足尾町は古河から通洞坑事務所を借り、国からの借金で銅山観光をはじめました。以前に見学したことがあるので今回は省略しますが、観覧トロッコで坑道に入り、江戸時代から昭和までの銅採鉱の変遷を動く人形で解説するという趣向でした。私の記憶では、鉱毒に関する解説や展示はいっさいありませんでしたが、これは古河鉱業に対する配慮なのでしょうか。それにしても、企業という怪物は、人間や地域を食い潰し使い捨てながら肥え太っていくものだと痛感します。なお近くの地面に、「足」と記された、銅銭を模したプレートが埋め込まれていました。今、インターネットで調べたところ、江戸時代に大量に鋳造された寛永通宝は全国各地で作られ、足尾で作られた寛永通宝には裏に「足」の字が刻まれ「足字銭」と呼ばれていたそうです。
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 通洞駅に戻りトイレを拝借すると、男女表示はカモシカでした。
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 入線した列車に乗り込むと、団体客らしき方々で満員です。神戸駅でどやどやとみなさん下車されたので、このあたりでウォーキングでもされるのでしょうか。そして桐生駅に到着、徒歩ですぐ近くにある上毛電気鉄道西桐生駅へと移動。前橋に行き、吾妻峡を訪れるつもりですが、このローカル線には登録有形文化財がけっこうあるので、大胡駅で下車することにしましょう。まず西桐生駅舎が素晴らしい。1928(昭和3)年の開業とともに建てられたもので、優美なマンサール屋根が魅力的です。列車に入ると、自転車を押して車内に乗り込んできた方がいたのでちょっと驚きました。これは無料で自転車を載せられるという「サイクルトレイン」という試みだそうです。
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 三十分ほどで大胡駅に到着、こちらの駅舎も古い木造建築でした。そして歩いて数分のところにある荒砥川橋梁へ、1928(昭和3)年に竣工されたシンプルな鉄橋ですが、1947(昭和22)年のカスリーン台風によって流され再建されたものだそうです。駅に戻り線路に沿った坂をのぼると、古い木造電車庫が見えます。これも開業当初のもので有形登録文化財、その前に停車している黒塗りの武骨な電車が"上州の野武士"デハ101ですね。ときどき臨時運行をして、鉄ちゃん・鉄子さんたちを楽しませているそうです。
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 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2013-05-09 06:07 | 関東 | Comments(0)
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