そしてバスに乗り込み王宮のあたりで下車、団体旅行の定番であるお土産屋へと導かれました。おそらくマージンを貰っているのでしょうね、われわれはざっと目を通した後、離脱をして附近を散策しました。パン屋や楽器屋のディスプレイを楽しんでいると、セグウェイによる街めぐりツァーが出発するところにでくわしました。二本の足で歩きゃいいじゃんと思いますが、ま、蓼喰う虫も好き好き。
再びバスに乗り込んですぐ近くで下車、テントの中にお土産屋さんが櫛比する一画を抜けると、スペイン広場に到着です。ロシナンテにまたがる
ドン・キホーテと、ルシオにまたがったサンチョ・パンサ、彼らを見下ろすセルバンテスの像がありました。
みなさんと交替で記念撮影をして、昼食をとるレストランへと徒歩で移動。名物の生ハムをしこたまいただきました。
どた靴とハイヒールで表わした
トイレ男女表示を撮影してバスへと戻ります。
途中で黄色いポストと緑色のゴミ箱を撮影、いずれにも王冠が描かれており、スペインが立憲君主制国家であることを思い起こします。でも、日本でゴミ箱に菊の紋章をつけたら、たちまち右翼の皆々様方が街頭宣伝車を連ねて役所に押しかけ「この非国民」と大音量でがなりたてそうだなあ。
これでマドリードとはお別れ、ソフィア王妃芸術センターにある「ゲルニカ」と、サンタ・アナ広場にあるガルシア・ロルカ像を見られなかったのがなんとも心残りですが、いたしかたありません。これから127Kmほど走って、風車のあるコンスエグラへと向かいます。茫漠とした平野とところどころにあるなだらかな丘陵、ブドウ畑と赤茶色の土をうつらうつらしながら眺めていると、一時間半ほどでコンスエグラの町に到着。
ここから坂道をのぼっていくと、丘の尾根に並んだ11基の風車が見えてきました。バスからおりてさっそく付近を散策。身も心も吸い込まれそうな紺碧の空と白い風車小屋が見事なコントラストを奏でています。また眺望をさえぎるものもなく、赤土色の平原を一望できる360度の大パノラマを
満喫。
なおドン・キホーテがつっかかっていった風車がこれらだと言われています。当該部分を、『ドン・キホーテ 前篇(一)』(セルバンテス 岩波文庫)から引用しましょう。
そのとき二人は、野原の行く手に立ち並んだ三十から四十の風車に気づいた。ドン・キホーテはそれらを目にするやいなや、従士にむかって、こう言った―
「友のサンチョ・パンサよ、どうやら運命の女神は、われわれが望んでいたよりもはるかに順調に事を運んでくださるとみえるぞ。ほら、あそこを見るがよい。三十かそこらの途方もなく醜怪な巨人どもが姿を現わしたではないか。拙者はこれから奴らと一戦をまじえ、奴らを皆殺しにし、奴らから奪う戦利品でもって、お前ともども裕福になろうと思うのだ。というのも、これは正義の戦いであり、かくも邪悪な族を地上から追いはらうのは神に対する立派な奉仕でもあるからだ。」(p.141)
"邪悪な族を地上から追いはらうのは神に対する立派な奉仕"というのは言い得て妙ですね。レコンキスタや、新大陸における殺戮のことがふと心によぎりました。
本日の四枚です。