2013年参議院選挙

 2013年参議院選挙、自民党・公明党が過半数を制するという結果とあいなりました。安倍政権の掲げる政策をきちんと理解し賛同した上での投票なのか、それとも民主党への懲罰としての投票なのか、それとも"経済成長"というマントラに惹かれての投票なのか、いま一つわかりませんが。

 それはそうと、最近読んだ『マジョガリガリ』(森達也 TOKYO FM出版)の中に、興味深いやりとりがあったのでご紹介します。
森達也 去年、仕事でモンゴルに行きました。首都であるウランバートルから二時間も車で走れば、周囲はひたすら広大な草原地帯です。遊牧されている羊の一群を時おり見かけます。車で走りながらふと気づいたのですけれど、どこに行っても群れの中に必ず、数頭の山羊がいるんです。割合から言えば羊百頭に対して山羊が一頭くらいかな。でも必ずいる。見ているうちにだんだん気になりだして、遊牧民の住居であるゲルがあったので、通訳に「どうして必ず山羊がいるんですか?」と訊いてもらいました。遊牧民のその男性が通訳を介して言ったことをまとめると、羊は進取の気性に乏しい生きもので、足下の草を全部食べてしまったら、そこから動かなくなっちゃうそうです。だから群れ全体で、ぼーっと立ちすくんでしまう。一頭でも動けば群れ全体が動くのだけど、その一頭がいない。そんな状態が続けば、当然ながら痩せるし毛艶も悪くなる。そこで非常にアクティブで自分勝手な生き物である山羊の出番です。彼らは好き勝手に動き回るので、羊がその後をゾロゾロついていく。その結果、羊はフレッシュな草にありつける、ということだそうです。

辛酸なめ子 なんか象徴的な話ですね。想像すると可愛いですけど。

森達也 共同体における異物の役割というのかな。つまり、全部が均質になってしまうと、社会のダイナミズムが停滞してしまう。だからいろんな異物の存在が必要なのに、いまの日本社会は、セキュリティなどを理由に、異物を排除しようとする傾向がとても強くなっている。そんなことを考えました。この話の寓意としては、もうひとつあるんです。山羊がもし、野心や権力欲が強い山羊だったらどうなるか。

辛酸なめ子 腹黒い山羊ですね。

森達也 うん。そういう山羊に羊がなにも考えずにゾロゾロついて行ったとしたら、十年後二十年後にどうなってしまうのかということ。特に日本人は羊度が高い民族のような気がするから、このメタファーは笑い話ではすまない。(p.21~2)
 やれやれ。
by sabasaba13 | 2013-07-22 05:58 | 鶏肋 | Comments(2)
Commented by りくにす at 2013-07-22 14:15 x
面白そうな本をお読みなんですね。さがしてみます。
世の中「山羊」の排除に弾みがついている感じがしますね。
安倍首相の言う「自信と誇り」ってなんなのでしょう。
本当はもっと気の効いたことを言いたいんですけど、うまくいえません。すみません。
Commented by sabasaba13 at 2013-07-25 22:08
 こんばんは、りくにすさん。所詮、国民は彼ら/彼女らの知的レベルと同等の政治家しかもてないということだと思います。「自信と誇り」とやらも、安倍伍長自身、よくわかっていないのではないでしょうか。「わかーんない」、一億総ローラ化が進んでいるような気がします。やれやれ。
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