イタリア編(92):シェーンベルク・センター(12.8)

 そして『地球の歩き方』の地図に載っていていたアルノルト・シェーンベルク・センターに行ってみることにしました。カールス教会とブラームス像の前を通り過ぎ、自転車専用の信号を撮影し、地図を片手に探していると、「Arnold Schonberg Center」という看板のある、くもみちゃんの大好きなトンガリ物件ビルを発見。しかし資料館の入口が見当たりません。ビルのある一画を一周したのですがやはりありません。うーん、おかしいなあ、どうしよう。ここで突然何の根拠もなく粘り強くなる山ノ神、「あきらめちゃだめ、中に入ってみましょう」と、大きなドアを開けてビルに入っていきました。恐る恐るついていくと、受付も人影も、それらしき部屋も表示もありません。山ノ神曰く「あきらめちゃだめpart2」、はいはい("はい"は一回でいいの)、丹念に一階ホールを探索しているとエレベーターの表示に「Arnold Schonberg Center」と記されていました。やった、見つかった。エレベーターで(たしか)四階にのぼり、入館料を支払って見学開始。
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 アルノルト・シェーンベルク(1874‐1951)、弟子のベルクおよびウェーベルンとともに「新ウィーン楽派」を形成し、とくに「十二音音楽」という長調、短調など調性の中心音を感じさせない無調の技法による音楽を創造して、20世紀の芸術音楽の展開に決定的な影響を与えた作曲家です。私は、「浄められた夜」、「月に憑かれたピエロ」、「ワルシャワの生き残り」しか聴いたことがありませんが、ちょっと気になる音楽家です。自筆の楽譜や手紙・手記、ポートレートや彼が描いたシュール・レアリスティックで寂寥感を感じさせる油絵を興味深く拝見。
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 一室で、彼が作曲した楽曲をオーケストラが演奏している映像を見て聴いていると、これがなかなかいい曲で感銘を受けました。とてつもない大編成、ロマンティックかつ迫力にあふれた演奏に心を揺さぶられます。テロップを確認すると「Gurre Lieder」…グレ…グレ…「グレの歌」だ! 名前だけは知っていましたが、こんなに素晴らしい曲だったんだ。ミュージアム・ショップに立ち寄ると、「グレの歌」、「モーゼとアロン」、「ワルシャワの生き残り」が収録された、ピエール・ブーレーズ指揮による六枚組CDがあったのでさっそく購入。また、ワシリー・カンディンスキーの絵がプリントされているTシャツも購入。シェーンベルクとカンディンスキーには交友関係があったのですね、両者の往復書簡も売っていました。ある本の表紙は、エゴン・シーレが描いたシェーンベルクの肖像が載せられていました。そういえばオスカー・ココシュカによる彼の肖像もあったような気がします。当時のウィーンにはこうした芸術家たちのネットワークがあり、互いに刺戟し合っていたのですね。なおCD とTシャツでしめて31ユーロ、何ともお買い得な値段でした。
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 後日談。帰国後に、尾高忠明指揮による東京フィルハーモニー交響楽団が「グレの歌」を演奏する情報を得ました。東日本大震災で中止となった公演を、「必ずこのメンバーで、もう1度やりましょう」という尾高の言葉を信じて復活。オーケストラ約150人、合唱約120人、独唱5人の オール日本人キャストによって演奏される東フィル創立100周年記念特別演奏会。これは女房を質に入れ…ではなく女房と一緒に是が非でも聴きにいこうと決意。二人分のチケットを購入したのはいいのですが、好事魔多し、己の不徳のいたすところ、その日大事な仕事がはいってしまいました。泣く泣く私の分のチケットを彼女の友人に譲ったのですが、コンサートが終って帰宅した山ノ神、夢見心地の呆けた表情で「素晴らしかった…」と一言。ああ悔しい、でもこれだけ喜んでくれたのですから、諒としましょう。♪When you're smilin' When you're smilin' The whole world smiles with you♪

 本日の三枚です。
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by sabasaba13 | 2014-03-12 06:22 | 海外 | Comments(0)
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