オーストリア編(16):ヴァッハウ渓谷(13.8)

 オフィスで乗船券を受け取り、船に乗り込んで最上階にあるオープン・エアの座席に陣取りました。なんて爽やかなのでしょう、"利根の川風袂に入れて月に棹差す高瀬舟"と小声で唸りながらメルク修道院を眺めていると、楽しげに談笑されている日本人の家族連れがいることに気づきました。小学生か中学生らしきお子様を見て、いいなあ、私があのくらいの歳で親に連れていってもらったのは船橋ヘルスセンターか谷津遊園だったものなあ、と羨望の溜息をつきました。ん? おぼっちゃまは美しい風景には目もくれず一心不乱にゲーム機をいじっておられます。(ムカムカ) きさまあ、気をつけ、目をつぶれ、歯をくいしばれ、親の金でこんな素敵な所に連れてもらいながら、一顧だにせぬとはどういう料簡だ、その根性を叩き直してくれる、と一喝したいところでした。それを放任しているご親族の方の姿勢にも疑問を感じます。
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 そして定刻通りに出航、船はドナウ川をゆるりゆるりと進んでいきました。まず右手に見えてくるのがシェーンビュール城、川に面して建つ美しい城館です。
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 山の頂に建つのはアックシュタイン城、15世紀の盗賊騎士が捕虜を閉じ込めた後、谷へ突き落したという伝説があるそうです。
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 緩やかな山なみを縫うように滔々と流れるドナウ川、川沿いの道を楽しそうに駆け抜けていく自転車のご一行、古城や街並み、そして斜面を埋めつくすブドウ畑、心の塵が洗い流されて行くような眺めを堪能。そういえば橋がないなあ、と思ったら自動車を載せた平らな渡し船が川面を滑っていきました。
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 船はシュピッツ(Spitz)という街に投錨、自転車を押す一行が陸続と乗り込んできました。12:10にデュルンシュタイン(Durnstein)に着岸、ここはガイドブックに「伝説の古城がそびえるメルヘンの町」という紹介があったので下船して立ち寄ってみることにしました。なおこの遊覧船は、何回でも乗り降りが自由です。聖堂参事会修道院教会と山頂のケーンリンガー城跡を写真におさめて、いざ散策を開始しましょう。
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 まずは船着場の近くに小粋な男女トイレ表示があったので撮影。
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 石のアーケードをくぐって石畳の狭い路地をのぼっていくと、すぐに街の中心部ハウプト通りです。ここから急な石段をのぼってケーンリンガー城跡へと向かいます。
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 途中から眺望が良くなり、ドナウ川や田園、街並みを見下ろすことができました。
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 途中に"ENTRY AT YOUR OWN RISK"という看板があったので、虎穴に入らずんば虎児を得ず、とりあえず進んでいくと手摺のない城壁最上部に到着。多少は危険ですが、眺めは最高です。
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 そして港から三十分ほどで城跡に着きました。西洋史にはまったく疎いのですが、イギリスのリチャード獅子心王(Richard the Lionheart)にまつわる城跡だそうです。第三回十字軍(1189‐92)からの帰途、彼はオーストリアのレオポルト公の怒りにふれ、ここケーンリンガー城に幽閉されたとか。ウィキペディアによると、アッコンを攻め落とした際に、レオポルト公が自身の功績を誇示し旗を掲げたのをリチャードの側近が叩き落としたのが理由だそうです。やれやれ。しかし幽閉とはいっても、実際はイギリスからの身代金が届くまでの間、リチャード王はこの地の名産ワインやアプリコットのリキュールを飲みながら、風光明媚なドナウ河畔での休日を楽しんでいたそうな。

 本日の五枚です。
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by sabasaba13 | 2014-09-18 06:34 | 海外 | Comments(0)
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