イン・ア・センチメンタル・ムード

 昨日7月17日は、ジョン・コルトレーンの命日でした。この一文を捧げます。

音楽は生活のちりを流す。
                      ~ア-ト・ブレイキ-~
 うん、その通り。ウーロン茶のように、暮らしにこびりついた脂肪を洗い流してくれるのが音楽です。若い頃は、出勤前の景気づけにローリング・ストーンズの「悪魔を憐れむ歌」を聴いていたのですが、さすがにもうそんな金たわしで顔を洗うような無謀なことはしません。やはり一日の仕事が終わり、自宅に着いてほっとしながら聴く音楽でちりを流しています。最近よく流す曲が「イン・ア・センチメンタル・ムード」(デューク・エリントン&ジョン・コルトレーン)。作曲家兼バンド・リーダーとしてジャズの歴史をつくってきた巨人エリントンと、サックスの巨匠コルトレーンの共演です。武満徹がアメリカ留学を打診された時に、師としてエリントンを指名し「冗談だろう」と実現しなかったというエピソードがあるそうです。
 メンバーは、ジョン・コルトレーン(テナー・サックス)、デューク・エリントン(ピアノ)、アーロン・ベル(ベース)、エルヴィン・ジョーンズ(ドラムス)。エリントンが1936年に作曲した名バラードを、いつもの強面かつエネルギッシュな姿とは別人のようなコルトレーンがしみじみと歌い上げています。
 まるで憧れの選手に会えた野球少年のような感じです。恥じらいにみち遠慮がちな、けれども暖かなでだしの音を耳にした瞬間、胸がキュンと締め付けられます。そして尊敬する師に対する敬意を失わない、ていねいな即興演奏がくりひろげられていきます。エリントンもとつとつとした魅力的な演奏でこれに応えます。エルヴィンは普段の力強い複合リズムはがまんして、二人の幸福な出会いを祝福しているかのような控えめで心がこもったリズムを刻みます。そしてためていた思いをはきだすかのような最後のコルトレーンの熱情的なソロと、それをビシビシと煽りかつ引き締めるエルヴィンのドラミング。
 あまりジャズを聴かない方にもお勧めです。ぜひご一聴あれ。「至福」を音にした4分15秒です。
by sabasaba13 | 2005-07-18 07:52 | 音楽 | Comments(0)
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