「日本全国 近代歴史遺産を歩く」

 「日本全国 近代歴史遺産を歩く」(阿曽村孝雄 講談社+α新書255-1D)読了。何の因果か因縁か、近代化遺産に興味をもってから旅行・散歩の幅が非常に広がりました。鉄道、学校、橋梁、ダム、配水塔、工場、鉱山、灯台… そろそろ近代化遺産めぐりも市民権をもちはじめたようで、嬉しいかぎりです。ガイドブックもそろいはじめ、また新しい一冊が出版されたので紹介します。
 著者はバイクに乗って、全国各地の近代化遺産をめぐっておられる方です。なお観光レジャーとしてのインパクトを与えるために「ヘリテージ」という呼称の使用を提唱されていますが、一理ありますね。たしかに近代化遺産という言葉は堅苦しい。また近代化という言葉には西洋化というニュアンスが含まれるので、近代以降に伝統的な手法でつくられた物件(ex.川越の土蔵群)が排除されてしまうという主張にも首肯します。ただ「ヘリテージ」という言葉は、日常的に使うにはちと赤面しそう。何かいい言葉はないかしらん。
 それはさておき、過不足なくコンパクトにまとめられたなかなかよい入門書だと思います。いわゆる定番の物件はほぼ網羅されており、私の知らなかった物件も散見されます。キノコのような名古屋の東山配水塔や、夏の間だけダムの水底から姿を現す鹿児島の曽木発電所、純白の緞帳のように水が流れ落ちる大分の白水堰堤なぞは、初耳でした。ぜひ行ってみたい。くだけたざっかけない文章も、好みはあるでしょうか私は好きです。
 情報交換ということで、小生が心底衝撃を受けた二つの物件が載っていないので紹介します。一つは讃岐平野の豊稔池ダム。もう「ゆるぬき」は終わったろうな。もう一つは福岡にある志免炭田竪坑櫓(たてこうやぐら)です。阿曽村さん、これには文字通り圧倒されますよ。
 寝る前に、ウィスキーを飲みながらこうした本を読んで、次は何処に行こうかなとうつらうつら思案するのは至高の時間です。

 蛇足ですが、小生が日頃お世話になっているガイドブックをいくつか紹介します。ご参考までに。
 ●新全国歴史散歩シリーズ (山川出版社)
   …旅の計画を立てる際の必読書。全都道府県ごとに出版されており、史跡や歴史的物件がほ
    ぼ網羅されています。ほとんどがアカデミックなものでちよっと堅苦しいですが、歴史にかけ
    る著者諸子の情熱には感服します。旅行をする前に買い続け、残るは宮城県と岐阜県のみ
    となりました。
 ●近代化遺産を歩く (増田彰久 中公新書1604)
   …情報量は少ないですが、著者はプロのカメラマンだけあって写真が素晴らしい。
 ●日本の近代化遺産を歩く (JTB)
   …詳しい地図・データもついており、役に立ちます。
 ●明治の学舎 (小学館ショトルシリーズ)
   …明治期の学校建築を紹介。
 ●あなたが選んだ日本の灯台50選 (燈光会)
   …内部公開をしている灯台で購入できます。
 ●保存版ガイド 日本の戦争遺跡 (平凡社新書240)
   …質量ともに申し分なし。よくぞ調べたものだと思います。
by sabasaba13 | 2005-07-22 06:09 | | Comments(0)
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