本日 小田日和

 先日、山ノ神から「本日 小田日和」という小田和正のコンサートに行かないかと誘われました。おだかずまさ? うーん、たしかオフコースのヴォーカルだった方でしたかな。若い頃、「僕の贈りもの」「眠れぬ夜」「さよなら」「I LOVE YOU」を聴いていいなとは思いましたが、とりたてて入れ込んだ記憶はないし、今でもさほど関心はありません。彼女の職場に小田氏の大ファンがいて、全国ツァーを締めくくる横浜アリーナでのコンサートの切符を抽選で手に入れてくれたとのことでした。何でもなかなか手に入らないプラチナ・チケットだそうです。そういえば、おしょすい(※仙台弁)話、わたくし、ロックやポップスのコンサートに行ったことがありません。RCサクセションだけは聴きにいきたかったのですが、まごまごしているうちに忌野清志郎氏が早逝されてしまいました。合掌。よろしい、後学のためにもつきあいましょう。
 三月某日、山ノ神と新横浜駅ビル「キュービックプラザ」の十階にある中華料理店「點心茶室」の前で午後五時に待ち合わせました。ところが好事魔多し、渋谷駅まで来たところ、東急東横線の人身事故のため菊名駅までたどりつけません。駅員さんにお訊ねしたところ、復旧には時間がかかりそうなので、JR湘南新宿ラインで横浜まで行き横浜線で行った方がよいとのお答えでした。いたしかたない、JR渋谷駅に向かっていると、ひさしぶりに岡本太郎氏の『明日の神話』を見ることができました。下の方に描かれた小さな船が第五福竜丸でしょうか。
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 ご教示の方法で新横浜に辿り着いたのが午後五時十分、十数分後に山ノ神も到着しました。しかし肝心のお店は、コンサートに行く観客で満員、やれやれ、次善の策として同じ階にある「文の助茶屋」でにしん茶そばをいただきました。京都八坂の塔の近くにあるあのお店の支店がここにあるのですね。京の味を楽しみ、ここから徒歩五分ほどの距離にある横浜アリーナに向かうと…おおっわれわれと同年輩の善男善女の方々がぞろぞろぞろぞろぞろと同じ方向に歩いていきます。アリーナ場内は観客一万七千人が座席を埋めつくしています。中年世代の、落ち着いた感じの期待感と高揚感が空気を充たし、何とも心地よくなってきます。ポップスのコンサートははじめてなので、新鮮な体験でした。ステージからは観客席の間を縫うように花道が設けられていますが、小田氏があそこを走り回るのでしょうか。
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 そして小田和正とバック・バンドが登場、新作アルバム「小田日和」に収録された曲(たぶん)の演奏が始まりました。すると驚いたことに観客はほぼ総立ち。ええっ? 奏でられた音楽に感動して立つのではないのかい。ったくもう、見えづらいったらありゃしない。しかし彼の語りが始まると、自然にみなさんは陸続と席に腰をおろします。そして新作アルバムを中心に、オフコース時代の曲「言葉にできない」「YES-YES-YES」を織り交ぜながらステージは進行していきます。小田氏の魅力的なハイ・トーン、安定した技量のバック・バンド、十二分に楽しめた三時間でした。場内をカラフルに彩るレーザー光線やスクリーンに映し出される映像も、なかなかよろしかったです。ただ気になったのは、お歳のせいなのか、PAのせいなのかはわかりませんが、弱音の時に歌詞が聴き取りづらかったこと。四方の壁面に歌詞が電光掲示されていましたが、聴覚にハンディキャップのある方のためであるとともに、聴き取りづらさを補う措置なのでしょうか。もう一つは、同じような曲調と歌詞が多くやや退屈してしまったこと、正直、欠伸を三回ほどしてしまいました。しかし会場を埋め尽くした観客は、ほとんどの方が総立ちし、曲に合わせて同じように腕を振り、時に「小田さーん」と叫んでいます。小田氏の音楽を聴きにきたというより、教祖の説教に恍惚とする信徒のようでした。ま、人世の楽しみ方は十人十色、別にこうしたあり方を否定する気は毛頭ありませんが、私はやはり音楽を聴きたいですね。よってもう彼のコンサートに行くことはないでしょう。S席8640円(税込)は高いしね。
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by sabasaba13 | 2015-03-24 06:37 | 音楽 | Comments(0)
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