福岡・大分編(2):門司(03.9)

 門司の街並みは、日本と九州の玄関であった往時の殷賑を髣髴とさせる蠱惑的なものでした。関門トンネルが開通してさびれた後、再開発がされなかったのでしょう。「建物の老人ホーム」みたいな雰囲気で、余生を楽しんでいるようにも見えます。功なし名をとげた存在のみがもつ風格も感じます。レトロ・ブームでこの街への関心が高まっているのは嬉しいかぎり。このポルトガルのようなのんびりした雰囲気を壊さないで、上手に町興しをしてほしいな。ブラブラと歩きながら旧大阪商船ビル①、旧門司税関②、国際友好記念図書館③、旧門司郵便局④といった戦前のビルディングを見物しました。④は門司初のモダニズム建築だそうで、設計は山田守。縦長の窓ガラスがこれでもかと並ぶ斬新なデザインです。たしか彼は名作東京電信電話局⑤(現存せず)の設計者では。他にも、御茶ノ水の聖橋⑥、日本武道館、京都タワービルなどがあります。アーチ+縦長デザインが彼の好みなのかな。
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 kitschな民家・商店街も数多く残っています。和風、洋風、折衷風、国籍不明風と、バラエティにとんだ家並みはあきません。しょぼい(失礼)民家の野外展示博物館のようです。銭湯の優品もいくつか発見しました。「どこが銭湯だ、どこが!」とつっこみたくなるような梅の湯、スクラッチ・タイルを貼りめぐらしたモダンな旧旭湯。
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 ここで提案。これだけ時代がついて味のある建物、ビルディング、民家、商店、銭湯があるのでから、門司全体を「昭和30年代の街」というテーマで再開発し、観光客を誘致してはどうでしょう。これほどさまざまなタイプの建築が朽ちることなく保存され、しかも今も活用されている所は珍しいと思います。間違いなく昭和30年代への憧憬を持つ人はこれからも増えると思うので、当たると思いますよ。アメリカの防共防波堤となることで戦争の賠償を免れ援助を受け、戦争責任のことは雲散霧消して被害者のことを忘れ去り、朝鮮戦争により経済を復興させ、アメリカに追従することで国際外交に煩わされることもなく、ある程度の民主化も実現し、安い石油価格と勤勉な労働により驚異的な経済面のみの驚異的な成長をなしとげた、あの夢のような時代…
 旧三井倶楽部を見物して、さあフェリーで本州へ渡りましょう。
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by sabasaba13 | 2005-08-09 21:57 | 九州 | Comments(0)
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