スイス編(4):チューリヒへ(14.8)

 そして10:25発のLX0161便に搭乗、いつものように「頑張れよ」と入口の脇を軽く叩き、機内へ入りました。さあ離陸です、飛行機は一路チューリヒへ…と思いきや、機窓から下界を見下ろすと、九十九里海岸が見えてきました。ずいぶんと派手な迂回ですね、山ノ神は、台風の余波によるものだと推測しておりましたが。しかし、最近読んだ『本当は憲法よりも大切な「日米地位協定入門」』(前泊博盛 創元社)の中で指摘されていた重要な事実と関係があるかもしれません。東京都福生市には米軍横田基地があり、首都圏上空には「横田ラプコン」といわれる、一都八県の上空をおおう巨大な米軍の管理空域があるのですね。ラプコンとはレーダー進入管制(RAPCON:rader approach control)のことで、簡単に言えば民間の航空機が進入できない米軍の管理空域です。以下、長文ですが同書より引用します。
 どのルートを通る飛行機も、4000~5500メートルの高さがある「横田ラプコン」を越えるために、一度房総半島(千葉)方面に離陸して、急旋回と急上昇を行わなければならないことがわかります。
 そのため利用者は、本来は不要な燃料経費を価格に転嫁されたり、時間のロスを強いられたりしているのです。なによりも見逃せないのが、こうした非常に狭い空域を不自然に急旋回・急上昇して飛ばなければならないため、航空機同士のニアミスが発生するなど、危険性が非常に高くなっているということです。
 日本の首都である東京は、こうした巨大な外国軍の支配空域によって上空を制圧されています。(中略) 横田、座間、厚木、横須賀と、都心から3~40キロ圏内に、まるで首都東京をとりかこむような形で米軍基地が存在しているのです。さすがにこんな国は、世界中どこをさがしてもどこにもないでしょう。そのことに普段私たちが気づかず、なんの疑問ももたずに生活していることを、まずおかしいと思う必要があるのです。
 すでにふれたように、こうした世界的に見てきわめて異常な状態にある首都東京の知事が、そのことも解決できないうちに、なぜかはるか遠くの東京都とはなんの関係もない小さな無人島(尖閣諸島)の件で「愛国心」をあおって自分の政治的立場を強化する。わたしたちはそうしたことのおかしさに、すぐに気づくことができるようになる必要があります。本当の愛国者なら、すでに自国が現実に支配(実効支配)している無人島について問題を提起するよりも、まず首都圏全域の上空に広がる外国軍の支配空域について返還交渉を片づけることのほうが、もちろん優先順位が高いはずだからです。
 これからは首相であれ、東京都や沖縄の知事であれ、そうした異常な状況の解消に努力する人でなければ当選しない。そのような投票行動が日本人の常識になってほしいと思います。(p.70~2)
 ほんとうに勉強不足でした。米軍が首都東京を武力制圧することなど、赤子の手を捻るようなものだったのですね。かつて、朝鮮半島は日本の柔らかい横腹に突きつけられた匕首だと言った元老がいましたが、さしずめ在日米軍は日本の頭上にぶらさがるダモクレスの剣だと思います。この大きな迂回は関係ないかもしれませんが、このおぞましいラプコンが東京や沖縄の上空を覆っているのは紛れもない事実です。一刻も早くとっぱらってきれいな青空を見たいものですね。いや逆ですね、アジアに青空が広がれば(緊張が緩和すれば:Blue sky position)、アメリカ軍の皆々様方は日本から出て行ってくれ、ラプコンも消えるはずです。その日を夢見て、 まずは飲み物サービスでビールをいただきましたが、上部に四カ国語で「ビール」と記されていました。
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by sabasaba13 | 2015-09-30 06:30 | 海外 | Comments(0)
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