スイス編(95):ジュネーヴ(14.8)

 さてこれからル・コルビュジェが1931年に設計した"クラルテの集合住宅"に向かいます。ガイドブックにも載っていない物件なので、事前に正確な住所を調べておき、一昨日にiで確認をしておきました。ちなみに名称は「イムーブル・クラルテ(Immeuble Clarte)」、住所は「2, rue St Laurent」です。iで所在地を書き込んでもらった地図を片手に、二十分ほど歩くと到着です。ル・コルビュジェの都市計画に対する考え方が確立された時期のもので、彼が設計した最初のアパートだそうです。一階おきに設置された大きなバルコニーと、明かりとりの大きなブロック・ガラスが印象的でした。
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 事前に入手できた資料を紹介します。
『ル・コルビュジエ 終わりなき挑戦の日々』(ジャン・ジャンジェ 創元社)
 スイスのクラルテ・アパートでは、鉄鋼業者エドモンド・ワナーの依頼でクラルテ・アパートを建てた。ル・コルビュジエはこのアパートで、2階分の高さがある吹き抜けの居間を設計し、金属部品や窓枠などを厳格に規格化し、ガラスを多く使うなど、さまざまな実験を試みている。(p.67)

『ル・コルビュジエを見る』(越後島研一 中公新書)
 同時期の作に、ジュネーヴの集合住宅クラルテ(1933)がある。坂道の途中に建つ姿が印象的だ。各住戸は、居間が二階分の高さをもつ。だから外観では、バルコニーが一階おきに現れ、通常の集合住宅よりずっとゆったりした表情をもっている。…10年前の、二階分の高さをもつ大きな凹部が繰り返された集合住宅「イムーブルヴィラ」と、類似した効果だ。クラルテでは凹型ではなく、突出したバルコニーだが、通常の住宅のスケールを超えた大きなリズムが刻まれているために、おおらかさを印象づける。
 南側もガラス張りで、個々の窓の外部には、バルコニーにかぶさる赤いブラインドがついている。ここでも室内の奥行きは深くはない。スイスであっても、透明な建築の中は住みづらいほどの高温になってしまう。だから陽あたりがよい南側では、日除けを工夫する必要があったことがわかる。(p.90~1)
 なお「屋上庭園があり住む人に太陽・空間・緑を享受する喜びを与える」とのことですが、中に入る勇気はありませんでした。事前にもう少しきちんと調べておけばよかったと後悔しています。

 本日の二枚、下の地図の★にあります。
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by sabasaba13 | 2016-02-17 06:17 | 海外 | Comments(0)
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