『へいわって どんなこと?』

 「日・中・韓国 平和絵本」という絵本のシリーズをご存知ですか。迂闊にも私は初耳、某書ではじめて知り、その一冊『へいわって どんなこと?』(浜田桂子 童心社)を読んだ次第です。まず刊行の言葉を引用します。
 アジア・太平洋戦争の終結から65年が過ぎました。それでもなお、紛争の火種はいたるところにあり、それらは先の戦争が積み残した問題が原因となっているものも多くあります。
 一方、近隣の国同士の人びとの交流は様ざまな形で広がっており、互いに手をつなごうとする動きは確実に進んでいます。
 この"絵本シリーズ"を創るために続けられた日本、中国、韓国の絵本作家たちや出版社同士の交流は、6年を数えます。これは国の違いを超えた、相互理解と痛みの共有への努力の歴史です。そして三か国共同出版(それぞれの国で、それぞれの言語で、12冊の絵本を刊行しあう)という絵本史上初めての試みを成功させるための冒険の歴史でもあります。
 平和のために立ちあがった三か国12人の絵本作家たちの熱い思いは、強固な「友情と共感」、そして「希望への連帯」の結びつきを作りました。
 その意気やよし。嫌中・嫌韓本がうず高く本屋に積まれている今こそ、こうした共同作業が必要だと思います。そして魯迅ではありませんが、まず子どもたちを救うこと。日本人だって中国人だって韓国人だって、少々の違いはあるけれど、同じ人間であり、平和に暮したいと願っているのだということを知ってほしいと思います。人間を昆虫と同じように分類し、何千万という人間集団に「善」とか「悪」とかのレッテルが貼ってしまうような嘆かわしい精神的習慣から、せめて子どもたちは無縁でいてほしいものです。
 いろいろな人種・民族の子どもたちを彩り豊かに描いた絵も、戦争の醜さと愚劣さを描いた絵も、ともに子どもたちに訴える力をもっています。そして分かりやすく、真摯な気持ちのこもった詩が素晴らしいですね。
せんそうを しない。
ばくだんなんか おとさない。
いえや まちを はかいしない。
だって、だいすきな ひとに いつも そばにいてほしいから。
おなかが すいたら だれでも ごはんが たべられる。
ともだちと いっしょに べんきょうだって できる。
それから きっとね、へいわって こんなこと。
みんなの まえで だいすきな うたをうたえる。
いやなことは いやだって、ひとりでも いけんが いえる。
わるいことを してしまったときは ごめんなさいって あやまる。
どんな かみさまを しんじても かみさまを しんじなくても だれかに おこられたりしない。
おもいっきり あそべる。
あさまで ぐっすり ねむれる。
いのちは ひとりに ひとつ、たったひとつの おもたい いのち。
だから ぜったいに、ころしたら いけない。ころされたら いけない。
ぶきなんか いらない。
さあ、みんなで おまつりの じゅんびだよ。
たのしみに していた ひが やってきた。パレードの しゅっぱーつ!
へいわって ぼくが うまれて よかってって いうこと。
きみが うまれて よかったって いうこと。
そしてね、きみと ぼくは ともだちに なれるって いうこと。
 "いやなことは いやだって、ひとりでも いけんが いえる"など、単に戦争を否定するだけではなく、どういう状況になると戦争に一歩近づいてしまうのかを、子どもにも分かる言葉で伝えようとしているのが見事です。一人でも多くの子どもたちに、そして大人たちにも読んでほしい絵本です。

 安倍伍長、"わるいことを してしまったときは ごめんなさいって あやまる"のが大事なんですよ。
by sabasaba13 | 2016-06-26 08:43 | | Comments(0)
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