名古屋編(2):三岸節子記念美術館(05.8)

 三岸節子(1905~98)。一宮の大地主の家に生まれるが、先天性股関節脱臼のため家族からは疎んじられた少女時代を送ります。画業を志し、新進気鋭の画家三岸好太郎と結婚して三人の子供をもうけますが、彼の奔放な女性関係に苦しめられ生活はどん底でした。彼が31歳で死んだ時に、「ああ、これで私が生きていかれる」と思ったという凄絶なエピソードもあります。そして三人の幼子をかかえながら、第二次世界大戦という苦難の時代をのりこえ、敗戦後にようやく画業に専念できるようになりました。なお三岸好太郎美術館は札幌にあります。また美術館の屋根がギザギザしているのは、一宮にたくさんある町工場の明り取り屋根をイメージしたものです。
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 それはともかく、伝記よりも作品が画家の全てです。彼女が二十歳の時に描いた自画像をテレビで見て衝撃を受けました。暗闇の中にぼんやりと浮かび上がる、挑むように、怯えるように、こちらを凝視する若い娘。まるでこれから彼女の人生におとずれる地獄を予見し、それに立ち向かう決意を固めているかのようです。これが二十歳の人間が描く自画像か、是非見たい。しかし残念なことに、特別展のために貸し出されていて展示されていません! 嗚呼… かわりにヨーロッパの風景を素描した企画展を拝見しました。蔵の中にある展示室には、彼女のアトリエが復元されています。なお自画像は現在平塚市立美術館で9月11日まで展示されています。これは見に行かなくては。 

●三岸節子記念美術館 http://s-migishi.com/
●平塚市立美術館 http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/ 
●三岸好太郎美術館 http://www.dokyoi.pref.hokkaido.jp/hk-mikmu/
by sabasaba13 | 2005-09-05 06:04 | 中部 | Comments(0)
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