虐殺行脚 東京編(14):亀戸(16.10)

 それでは亀戸駅へと戻りましょう。ビルの狭間から見えるスカイツリーを撮影。近くのお店に「亀戸大根とあさり鍋」という看板がありました。転記します。
 亀戸大根(別名お多福大根) 江戸時代から大正まで當地で栽培された大根でこぶりできめ細かく葉も柔らかいのが特徴の江戸野菜です 當時は漬物として庶民に親しまれていましたが江戸前のあさり鍋に相性が良く當店のあさり鍋には使われています
 ここ「升本」というお店で食べられるようです。まだ開店しておりませんので再訪を期しましょう。虚飾に満ちた貧相な通りをしばらく歩くと、「コルドバ」というパチンコ屋がありました。
虐殺行脚 東京編(14):亀戸(16.10)_c0051620_6213756.jpg

 コルドバ…かつてウマイヤ朝の首都として栄えたスペインの町のことでしょうか。以前に訪れたことがあります。なぜそれを店名にしたかは分かりませんが。それにつけても気になるのは、パチンコ依存症の現状です。『なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか』(若宮健 祥伝社新書226)を読んでいただければわかるのですが、違法であるにもかかわらず換金行為が公然と横行し、ハイテク技術を駆使した賭博性の高い機械があふれ、店内にATMがあるのは当たり前、五万円の軍資金がなければ落着いて打てない状況になっているそうです。さらにコンピューターによる顔認証システムも導入されるケースもあり、入店した客の顔を検知してデータベース化して、出玉を調整するのだそうです。若宮氏の推定によると、パチンコ依存症の人は100万人を越え、巻き添えになっている家族を含めるとその被害者は300万人を越え、さらに年金生活者と主婦といった社会的弱者をターゲットにしていると氏は指摘されています。しかし一向に規制される様子が見えないのは、警察と政治家が利権がらみでずぶずぶの状態だからですね。
 それに対して、パチンコを全廃させた韓国。なぜ韓国ができて日本ができないのか。これは国民性の違いというよりも、歴史的経験の違いだと思います。「ハンギョレ新聞」の創刊時の編集局長だった成裕普(ソンユポ)氏の言葉を何度でもくりかえします。
 当たり前ですよ。われわれ韓国人は、あのひどい軍政時代に市民が血を流して闘い、自らの力で民主主義を獲得しました。だからわれわれは自信を持っています。日本の歴史で、市民が自分の力で政権を覆したことが一度でもありますか。
 桂太郎内閣と岸信介内閣を倒したのは、それに該当すると思いますが。ただ偉そうに付言すると、第二次大戦後の、アメリカと日本に支えられた軍事政権への命がけの抵抗だけが、民主化を求めるパワーとそれに対する自信を生んだのではないと思います。三十六年間の苛酷な植民地支配、独立運動・義兵運動への凄惨な弾圧、いま追いかけている関東大震災時の虐殺、強制連行、創氏改名をふくむ皇民化政策、従軍慰安婦など、われら日本によって行なわれた行為から、朝鮮の方々は人権と民主化の大切さを身に心に刻み込んだのではないでしょうか。そして戦後の軍部政権期においてもその炬火は燃え続け民主化を勝ち取り、そしてそれが脈々と若い世代に受け継がれている。朴槿恵(パク・クネ)大統領を辞任へとおいこんだ、パワフルな抗議行動を見ているとそう痛感します。なお『韓国現代史』(文京洙 岩波新書984)の書評を読んでいただけると幸甚です。
 なお北朝鮮の方々がこの炬火をどのようなかたちで受け継いだのかも、ぜひ知りたいところです。
by sabasaba13 | 2017-03-24 06:22 | 東京 | Comments(0)
<< 虐殺行脚 東京編(15):両国... 虐殺行脚 東京編(13):亀戸... >>