焼津編(2):薩た峠(17.3)

 熱海駅から列車に乗り、さらに西をめざします。三島のあたりから、富士山がくっきりクリアに見えました。ここでふと思いついたのが薩た(「た」は土へんに垂という難字)峠です。JR由比駅から歩いて一時間ほどのところにある、切り立った断崖と海の向こうに富士山を眺望できる格好のビュー・ポイント。以前に訪れたときは、あいにく霞がかかっていて、富士も雪をかぶっていませんでした。今日でしたらおそらく素晴らしい眺めでしょう、よろしい、由比で途中下車をして寄ってみましょう。これからの旅程を考えて、泣いて馬謖を斬る、タクシーを利用することにしました。幸い由比駅前で客待ちをしているタクシーが一台あったので、こちらに乗り込み薩た峠へと連れていってもらいました。余談ですが、もし時間の余裕があれば歩いていくことをお薦めします。以前に訪れた時には歩いたのですが、旧東海道の宿場町の面影を堪能できました。おまけに「あかりの博物館」や、昭和五年につくられたけったいなコンクリート製の掲示板+時計台や、玄関にかけられた蜂の巣や、「殉国の家」のプレートなど、見所満載です。
 十分ほどで薩た峠に到着、タクシーには駐車場で待っていてもらうことにしました。みかんの無人販売を横目に、階段をおりて遊歩道をすこし歩くと展望所に到着です。
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 …絶景。…素晴らしい。…眼福。海越しに、雪を戴く富士山をくっきりと見ることができました。これは英断でしたね、誰も褒めてくれませんが。展望所にあった解説板を転記します。
 この地は、富士山が望める景勝地として昔から知られており、歌川広重は、浮世絵「東海道五十三次」の作品の中で、当時と同じ景色が望める唯一残された場所とも言われています。
 しかし、見事な景色とは裏腹に、急斜面と海に挟まれた地形から道を造ることが困難で、交通の難所として知られていました。
 現在は、日本の大動脈である、国道1号・東名高速道路・JR東海道本線といった重要な交通網が集中しており、大規模な地すべりが発生した場合、東西の重要交通網が寸断されることによって生じる経済被害・人的被害は計り知れないものがあります。このため、平成17年度より国土交通省富士砂防事務所が、地すべり対策事業を行っています。
 タクシーに戻り、由比駅に戻ってもらいました。そうそう、富士山をバックに赤い桜えびを干している風景を写真で見たことがありますが、運転手さんに尋ねると富士川の河口とのことでした。これもいつか訪れてみたいですね。

 そして由比駅に到着。駅前には、名物の桜えびを載せたゲートがあり、富士山の山頂も見ることができます。
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 由比も以前に散策したことがありますが、せがい造りに下り懸魚、旧庚午銀行本店、明治時代の洋風郵便局舎、由井正雪の生家といわれる正雪紺屋、東海道広重美術館と御幸亭、おもしろ宿場館、そして何といっても桜えびと、なかなか楽しめる町です。桜えびには思いっきり後ろ髪を引かれましたが、昼食は焼津でマグロを食べようと固く決意していた関係上、すぐに焼津に移動しました。

 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2017-04-08 06:28 | 中部 | Comments(0)
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