言葉の花綵159

 骨は砕け肉は傷つき痛くないわけはないが、まずは徴兵を免れて郷里に帰るが先。腕をへし折って六十年、…。今でも雨風つのる冷たい夜には、痛んで朝まで眠られぬ。痛んで眠れなくても、後悔などしてはおらん。それどころか喜んでおる、この年までわし一人無事生き永らえたことを。(白居易 『新豊の臂を折りし翁』)

 戦争はまさに野獣的なものだが、しかしどんな野獣でも人間ほど絶え間なく戦うものはないとして、ユートピア人は戦争は極端に嫌っており、ほかのほとんどすべての民族の風習とは反対に、戦争で求められる栄光以上に恥ずべきものはないと考えています。(トマス・モア 『ユートピア』)

 少女だった時のあの写真は、たまたまその場にカメラマンがいたから撮れたもの。でも、世界には、写真に写ることもなく、救いの手の届かない子どもたちがたくさんいるのです。…少女は、恐れと苦痛で叫んでいるのではありません。平和を求めて叫んでいるのです。(キム・フック)

 政治権力が現実という一時の都合のために魂を売り渡そうとしている。自分の魂だけではない。戦争の犠牲者と、反省と、不戦の誓いのすべてを売り渡そうとしている。いったん売り渡せば、これを買い戻すことはほとんど不可能である。このツケはこれからの日本を背負う若者にまわされてくる。(森村誠一)

 歴史を冷たくみれば、権力者あるいは侵略者たちが戦争を起こす条件は次の三つであろう。
一、自国が戦争を仕掛けている相手の国よりはるかに強い武力をもっていて、その戦争の勝利が確実であること。
二、相手の国が自国に対して敵意をもっていること。
三、戦争で勝利を収めることによって巨大な利権が得られること。(梅原猛)

 アメリカでは第二次世界大戦後も常にどこかの国と戦争をしていた。しかし日本は第二次世界大戦後は一人の公的な戦死者も出さないで来た。ということは、日本人によって殺された他国の人もいないということです。それがなぜ可能だったのかというと、シロアリに食われたような形になりながらも、憲法、特に九条が生きていて歯止めになったからだと思います。(澤地久枝)

 戦争で得たものは
 憲法
 だけだ (憲法行脚の会)

 秋田県の横手町では、チャーチルとルーズベルトの藁人形をつくり、女子どもに竹槍で突かせていると、今朝の毎日新聞は報じている。封建時代の敵打ち思想だ。そうした思想しかない人が、国民を指導しているのである。(清沢洌 『暗黒日記』)

 武器なき民衆には何の力もないように思われますけど、決して、そうではない。「署名する、歩く、座りこむ、また集まるのも大きな力」。(岡部伊都子)

 戦争というのは、いちばん弱い者のところに、ダメージを与えるようにできているのです。(愛川欽也)
by sabasaba13 | 2017-05-18 06:27 | 言葉の花綵 | Comments(0)
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