『シチズンフォー』

c0051620_6254348.jpg 映画『スノーデン』にいたく心と頭を揺さぶられ、いろいろと彼に関することを調べていたら、実際のエドワード・スノーデンが出演しているドキュメンタリー映画『シチズンフォー』があることを知りました。是非見たい、何が何でも見たい、幸いDVDとして発売されていたので即購入し、自宅の再生装置にかけて鑑賞しました。

 公式サイトから引用します。
 イラク戦争やグアンタナモ収容所についてのドキュメンタリー映画で高い評価を得るとともに、当局からの監視や妨害を受けてきた気鋭の映画監督ローラ・ポイトラスは、2013年初め、"シチズンフォー"と名乗る人物から暗号化されたメールを受け取るようになる。それは、NSA(国家安全保障局)が米国民の膨大な通信データを秘密裏に収集している、という衝撃的な告発だった。
 2013年6月3日、ローラは"シチズンフォー"の求めにより、旧知のジャーナリスト、グレン・グリーンウォルドとともに香港へ向かった。ホテルで二人を待っていたのは29歳の元CIA職員エドワード・スノーデン。彼の語る一部始終をローラのカメラが記録する中、驚くべき真実が明かされてゆく。NSAや他国の機関がどのような仕組みを使い、テロや犯罪への関与と無関係にあらゆる国民の電話の会話、メールの内容からインタネーットで検索した言葉まで、すべての通信記録を収集・分析しているのか。政府の監視活動にIT企業がいかに協力し、情報を提供しているのか。 グレンたちが驚いたことに、スノーデンは自ら内部告発者として名乗り出ることを望んでいた。なぜ彼は、自身や恋人の身に重大な危険が及ぶことが予測されたにもかからず、この告発に至ったのか…。
 当局の追跡がスノーデンに迫る中、6月5日、グレンは彼が契約していた英国紙ガーディアンに最初の記事を掲載する。そのスクープはたちまち大反響を巻き起こした。さらに6月10日、スノーデン自身が、自らが告発者であると名乗り出る。この前代未聞の暴露事件は、全世界にどんな影響をもたらしたのか…。
 当の本人が出演し、リアルタイムに事実を追うドキュメンタリーだけあって、その緊迫感とリアリティは半端ではありません。結末はわかってはいるものの、固唾を?み手に汗握りながら、一気に見通してしまいました。
 相手は、国益の為なら生命や人権など屁とも思わぬ世界最凶の犯罪国家・アメリカ合州国政府です。国家機密を内部告発した彼に対して、どのような措置をとるのか。迫りくるその魔手とそれに怯えるスノーデン氏たちの恐怖がビシビシと伝わってきました。点検のために鳴り響くホテルの火災警報にも、ビクッと緊張が走ります。日に日に濃くなっていく彼の目のまわりの隈からも、彼の感じる圧力と恐怖がわかります。しかし彼はそれらを克服し、毅然として国家権力に立ち向かいます。彼の発する数々の言葉から分かるように、プライバシーを、自由を、自分自身を国家権力から守るために。
 そして彼の勇気を支えたものは、もう一つあります。公式サイトによると、ローラ・ポイトラス監督が、スノーデン氏にハンドルネームとして"シチズンフォー"を選んだ理由を聞いたところ、彼は「私が最初の人間でない。そして、志願する最後の人間でもない」と答えたそうです。実は、NSA(国家安全保障局)ではこれまで三人が市民のために内部告発したが潰されました。それを見ていた四番目の市民(スノーデン)は、世界中の誰も無視できないようなやり方で発表するしかないと考えたそうです。そして、たとえ自分が失敗しても、シチズンファイブ、シックスは必ず生まれる、と信じて。そう、人権や自由のために国家権力に抗う市民が必ずいるはずだという信念が、彼を支えていたのですね。国民(nation)ではなく、市民(citizen)が。

 彼と協力して、この国家犯罪を報道した硬骨のジャーナリストのグレン・グリーンウォルドにも感銘を受けました。政治的中立などくそくらえ、権力の悪事を世に知らしめることこそがメディアの使命であることをあらためて思い知りました。政府や官僚の広告代理店と化しつつある日本のメディアの体たらくと比べると、提灯と釣鐘ですね。その実態については、『ご臨終メディア』(森達也+森巣博 集英社新書0314B)と『官僚とメディア』(魚住昭 角川oneテーマ21)の書評をご笑覧ください。

 テクノロジーの発達にともない、とどまるところなく進化する国家権力の暴走と腐敗。それに立ち向い抗うことが市民の使命であることを教えてくれたエドワード・スノーデン氏に感謝したいと思います。私もいつか「シチズン」の何番目にかに名を連ねる勇気を持ちたいと思います。
by sabasaba13 | 2017-05-30 06:25 | 映画 | Comments(0)
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