東京散歩(水門・教会)編(4):北区立中央図書館(15.1)

 そして歩いてJR赤羽駅へ。昭和の雰囲気を色濃く残す駅前の飲み屋街を歩いていると、なんとOK横丁に「ミルクホール」という看板をかかげたお店がありました。もうこの看板だけでも歴史遺産ですね、その名は「三珍亭」。無機的かつ金太郎飴的な昨今のチェーン店とは違い、ディープで胡散臭そうな店構えに思わず見惚れてしまいました。貼り紙には「昭和の味 食材 ほぼ国内産 安全 安心食」とありましたが、"ほぼ"という副詞がいい味を醸し出していますね。
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 そして赤羽駅から埼京線に乗って十条駅へ。以前にも報告しましたが、このあたりにはかつて東京砲兵工廠銃包製造所があり、周辺には軍関係の施設が点在していました。今回のお目当ては、砲兵工廠の赤煉瓦建築を再活用した北区立中央図書館です。
 図書館の方へ歩いていくと、工廠の煉瓦塀が一部保存されていました。解説板を転記します。
煉瓦(れんが)塀の由来
 十条台1丁目一帯には旧陸軍の東京砲兵工廠銃包製造所が所在していました。この製造所は、日露戦争の行われていた明治38年、小銃弾薬の増産を図るために現在の東京ドーム周辺から移転してきた工場施設で、約10万坪の敷地に煉瓦造の工場等が建てられていました。
 本校とJR埼京線の境界に現存する煉瓦塀は、その製造所西側の敷地境界にあたり、煉瓦に残されている刻印から、葛飾区の金町煉瓦製造所の煉瓦が使われていることが判りました。
 近くには、旧十条中学校の校舎を解体した時に出土した煉瓦を利用したベンチもありました。
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 陸上自衛隊十条駐屯地の前を通り過ぎて、十分ほどで北区立中央図書館に着きました。『大軍都・東京を歩く』(黒田涼 朝日新書492)から引用します。
 さて公園の南には北区立中央図書館がありますが、たいへん素晴らしい建物で必見です。図書館を公園側から見ると、レトロなレンガ造りの屋根が二つ並んで見えます。これは一造(※東京第一陸軍造兵廠)にあった275号棟という建物を再利用して図書館にしているのです。275棟は1919(大正8)年に建てられた小銃の弾丸を作る建物でした。南北54メートル、東西27メートルで、高さは5.45メートル。北区内で作られた可能性のあるレンガと九州の八幡製鉄所で作られた鉄骨を使った完成期のレンガ建築です。関東大震災でもびくともせず敗戦まで使われ、他の建物が次々取り壊されるなか、1989(平成元)年まで自衛隊が利用しました。
 建物は土地とともに北区が購入し図書館に生まれ変わったのですが、よくある外観保存ではなく、外観はもちろん内部もきちんと保存して生かしているのがこの図書館の特徴です。全体は、275号棟内側に新しい鉄筋コンクリート3階建ての建物を建てているのですが、新築3階部分はレンガ建物の壁からかなり内側なので、公園側からはあまり見えず、レンガ建物だけが残っているようにも見えます。
 開館は2008年。閲覧室や書庫は元の建物の天井の高さを生かした開放的な空間で、大きくレトロな窓辺での読書は落ち着きます。天井の鉄骨組は美しく、外壁や基礎も室内で間近に見ることができます。一部の鉄骨は保存されており「ヤワタ」の文字が読めます。さらにはレンガの雰囲気を生かしたおしゃれなカフェがあり、豊かな気分にひたれます。(p.164~5)
 なるほど、二棟の風格のある赤煉瓦倉庫と、現代的な建築をうまくマッチさせた図書館です、お見事。中に入って天井を見上げると、三角トラス構造も保存されていました。喫茶室も明るくて良い雰囲気、思わず珈琲をいただいてしまいました。ここで人を殺すための道具が数多つくられたという歴史を、末永く語り継いでほしいものです。
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 本日の一枚です。
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by sabasaba13 | 2017-07-02 13:35 | 東京 | Comments(0)
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