ビル・エヴァンス 『アナザー・タイム』

c0051620_628482.jpg 購読を始めた『週刊金曜日』の書評・音楽評・映画評がなかなか充実していると拙ブログで報告しましたが、今日はそこからビル・エヴァンスのCDを紹介します。

 ふだん家で聴く音楽は、クラシック:ジャズ:ロック:その他が、5:3:1:1ぐらいの割合ですね。ジャズは50~60年代のハード・バップが中心ですが、愛聴しているのはマイルス・デイヴィス、ウィントン・ケリー、ウェス・モンゴメリー、そしてビル・エヴァンスです。一日の仕事を終えて帰宅し、缶ビールを飲みながらビル・エヴァンスのピアノに耳を傾けるのが至福のひと時。類まれなる歌心と心地よいスイング感が、身に積もった俗塵をきれいに洗い流してくれます。主に聴くアルバムは、スコット・ラファロ(b)+ポール・モチアン(ds)によるリバーサイド四部作。ピアノが主役、ベースとドラムスが脇役というこれまでの常識をくつがえし、三者が対等に語り合うと"インター・プレイ"を完成させた黄金トリオです。中でもスコット・ラファロ奏でるベースの素晴らしいこと。重厚な音色、高音をものともしない超絶技巧、そして魅力的なメロディ・ライン、過去最高のベーシストだと思います。
 そしてエディ・ゴメス(b)+ジャック・ディジョネット(ds)による『ビル・エヴァンス・アット・ザ・モントルー・ジャズ・フェスティバル』も捨てがたい愛聴盤です。黄金トリオに匹敵するような素晴らしいインター・プレイですが、残念ながらジャック・ディジョネットがマイルス・デイヴィスに引き抜かれたため、このトリオはわずか六ヵ月しか存続しませんでした。よってアルバムも前記の一枚のみ。ま、一枚だけでも録音が残されたことは僥倖でしょう。
 ところが、ジャズ・プレイヤーの貴重な未発表音源を精力的に発掘しつづけているレゾナンス・レコードのプロデューサー、ゼヴ・フェルドマンがこのトリオのスタジオ録音を発見したのです。それが『アナザー・タイム』、1968年6月22日、オランダ中部のヒルフェルスムにあるネーデルラント・ラジオ・ユニオンのスタジオで行なわれたコンサートを録音したものです。
 さっそく購入して聴きました。うーん、いいですね。歌心に力強さも加わったエヴァンスのピアノ、それを支えつつも雄弁にメロディをつむぎだすゴメスのベース、そして二人を刺戟するようなディジョネットのドラムス、三者のインター・プレイに聴き惚れました。これは黄金のトリオを凌駕するのでは。秋の夜長、ウィスキーの「ストレート・ノー・チェイサー」を味わいながら、ビル・エヴァンス・トリオの奏でる音楽に身と心を浸す。人生はそれほど悪いものではないなと思うひと時です。

 なおフェルドマンは、このトリオが1968年6月20日にドイツのスタジオで録音した音源を見つけ、こちらは『サム・アザー・タイム』として発売されているとのこと。さっそく購入することにしました。
by sabasaba13 | 2017-11-09 06:28 | 音楽 | Comments(0)
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