キャスリーン・バトル

c0051620_14254740.jpg 先日、山ノ神と一緒にサントリーホールでリリック・コロラトゥーラ・ソプラノ歌手、キャスリーン・バトルのコンサートを聴いてきました。大学生のころでしたか、ウィスキーのCMで彼女が唄った「オンブラ・マイ・フ」に感銘を受けて以来のファンです。声楽を習っている山ノ神も、彼女の歌を生で聴くのをたいへん楽しみにしていました。
 当日は仕事があるので、山ノ神とはホール近くの店で落ち合ってまず夕食をとることにしました。ホールや映画館に行く楽しみの一つは、その付近の店で美味しいものにありつけることです。渋谷アップリンクと「バイロン」のパン、ポレポレ東中野と「十番」のタンメン、オペラシティと「つな八」のてんぷら、浜離宮朝日ホールと「磯野屋」の寿司、新国立劇場と「はげ天」のてんぷら、東京文化会館と「池之端藪」の蕎麦、東京芸術劇場と「鼎泰豊」の小籠包、津田ホールと「ユーハイム」の洋食、岩波ホールと「揚子江菜館」の上海式肉焼そば・「スヰート・ポーズ」の餃子、新宿と「中村屋」などなど。
 さてサントリーホールの近くで食べるとしたら、どんな店があるのか。インターネットで調べてみると、アーク森ビルの中に「宇和島鯛めし 丸水」というお店を見つけました。鯛めしか、以前に宇和島で食べたことがありますが、鯛の刺身と生卵をだし汁に入れ、ぐちゃぐちゃかき回してご飯にかけるという豪快な料理です。なかなか美味しかった記憶があるので、この店に決定。午後六時に店の中で待ち合わせることにしました。
 ところが好事魔多し、改装中のため閉店中です。無念。仕方がないので同ビル内にある「水内庵(みのちあん)」という蕎麦屋で、私はカツカレー、山ノ神はおかめうどんをいただきました。それにしても蕎麦屋のカツカレーってどうして美味しいのでしょうか。すったもんだがありましたが、午後七時少し前に、席に着くことができました。わくわく。

 そしてキャスリーン・バトルと伴奏のジョエル・マーティンが舞台に登場。1948年生まれですから、齢69歳。しかしとてもそうは見えない若々しさ、さらには圧倒的な存在感と大輪の華のようなオーラには目を瞠りました。
 プログラムは、ヘンデルの「オンブラ・マイ・フ」、シューベルトの「あらゆる姿をとる恋人」「夜と夢」「ます」「糸を紡ぐグレートヒェン」、メンデルスゾーンの「新しい恋」「歌の翼に」、ラフマニノフの「夜の静けさに」「春の奔流」、リストの「ローレライ」、オブラドルスの「いちばん細い髪の毛で」、トゥリーナの「あなたの青い目」、G.&I.ガーシュウィンの「サマータイム」「バイ・シュトラウス」、R.ロジャース&O.ハマースタインIIの「私のお気に入り」、そして黒人霊歌から「ハッシュ」「私の小さなともし火」「天国という都」「馬車よやさしく」です。
 それにしても、何と美しい声であることよ。艶やかで、なめらかで、張りがあって…いや言葉では表現できません。お年のせいか、最弱音を保つのに少々苦労されているようですが、致し方ないですね。選曲も、歌曲あり、スタンダード・ナンバーあり、黒人霊歌ありとバラエティに富み、楽しむことができました。
 伴奏のジョエル・マーティンもいいですね。ラフマニノフの超絶技巧の伴奏を難なく弾きこなし、ジャズ風の即興演奏も披露してくれました。圧巻はアンコール、なんと黒人霊歌を中心に九曲も歌ってくれました。もちろんサービス精神もあるのでしょうが、それ以上に歌うことが好きで好きでしょうがないという気持をひしひしと感じます。山田耕筰作曲、北原白秋作詞の「この道」も歌ってくれましたが、しみじみとした良い曲ですね。客席から唱和する歌声も聴こえてきました。

 人間の声の素晴らしさ、凄さをあらためて思い知ることができた、至福の一夜でした。
by sabasaba13 | 2017-11-27 14:26 | 音楽 | Comments(0)
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