京都観桜編(33):岡崎疎水(15.3)

 それでは次の訪問先、妙傳寺へと向かいましょう。途中に蛙のガードレール・アニマルがあったので撮影。岡崎疎水の桜も、たわわに花をつけた枝が水面へと垂れ下がり、見事な景観でした。
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 なおこのあたりに、八角の塔を戴く印象的な「有鄰館」というビルがありました。とりあえず写真におさめ、今インターネットで調べてみると、公式サイトに格調高い紹介文がありましたので引用します。
 京都・東山連峰にほど近く清らかな疎水に面し、乾隆年製の黄釉瓦36,000をのせ、中国古材の朱塗りの八角堂をいただく有鄰館は、大正15年(1926年)に、滋賀県五個荘出身の藤井善助翁によって設立されました。翁は近江商人の血をひき17歳で上海の後の東亞同文書院大学に学び、33歳では数十社の経営に当り、満34歳で衆議院議員となり、この時出会った犬養毅翁の薫陶が中国文化への認識を深めさせ、古印などの収集をはじめることとなりました。有鄰館という名前は、「徳は孤ならず必ず鄰有り」と中国との善隣と友好を願って「論語」より名付けられました。
 「美術は一国文明の象徴にして文化の尺度たり。古来、東洋文物の世界に貢献するところ極めて深く、わが国文化の開発は、往昔中国に負うところ更に深し。しかるに近時、東洋文化の誇りとすべき宝器名品海外に流出し、欧米に去るを防がんと欲し、自ら微力を顧みずこれを蒐集す。しかるに美術の人心に及ぼす影響大なるを考え、蒐集家の深蔵を改め、公衆に公開して人心を美化し、美術の学術研究に資する。」という設立者の精神は今日まで脈々と流れ、大正15年以来の定日一般公開をつづけています。
 殷代より清代に至る約4000年間に生み出された芸術性の高い中国文化の結晶である、青銅器、仏像彫刻、陶磁器、磚石、印璽、書蹟、絵画などは、私達との血のつながりを肌で感じさせます。 又、文字の発達、変遷を甲骨文や青銅器の銘文にはじまり、多くの資料を通じて学ぶことが出来るのも有鄰館の特徴であります。「精神的に豊かな社会づくり」はビジョンであり、人間性の維持と復活という永遠のテーマに対し、鑑賞者が何らかのヒントを見出していただけると共に、やすらぎのひとときを与えられる美術館でありたいと念じています。
 "徳は孤ならず必ず鄰有り"、ほんとうにいい言葉ですね。大好きです。わが日本に、アジアにおける仲の良い隣人がいないのは、「徳」がないからだと言えそうです。特に中国との善隣と友好は、東アジアの、ひいては世界の平和にとって欠かせない条件だと思うのですが、昨今の中国脅威論には辟易しています。もちろん、中国政府も、日本政府と同じくらい様々な問題点があることは重々承知しておりますが、それにしても度が過ぎています。これに関して、最近読んだ鳩山友紀夫氏・白井聡氏・木村朗氏の鼎談『誰がこの国を動かしているのか』(詩想社新書12)の中で、白井聡氏が鋭い分析をされています。
 そして、結局、TPPとはアメリカのために貢ぐということではないかと批判され、ついには、実はそのとおりだ、しかしいま中国をアメリカに抑えてもらうには、このくらい貢ぐのも仕方のないことなのだ、という理屈でTPPを推進しようとしています。
 あらゆるイシューをめぐって、とにかく中国脅威論で押し通そうという傾向がいま出てきている。永続敗戦レジームで続けてきた政治体制からすると、確かに対中脅威論にすがるしかないのです。つまり対米従属している合理的な理由が、冷戦崩壊後存在しないわけですから。
 こうして自民党というもののアイデンティティが問われている。自民党には昔はいろいろな考え方の政治家がいましたが、とにかくソ連だけはいかんということで固まっていたわけです。ソ連の共産主義はけしからん、あれにやられたら駄目だということで団結していた。ですから実はソ連崩壊で、自民党も内的原理を失ったということになるのです。ある種、自民党自身もアイデンティティを探す旅に出て、そして安倍さんあたりになって、それを発見したのでしょう。つまり、かつてソ連が果たしていた役割を中国に果たしてもらえばいい、とにかく中国だけはいかんということでまとまっていけば、国民をまとめることもできるのではないかということです。そこにもはや合理性がないわけですから、対中脅威論をあおりにあおるしかないわけです。(p.201~2)
 こうした低劣な扇動に乗らず、"わが国文化の開発は、往昔中国に負うところ更に深し"という歴史的事実に思いを馳せて、これからのより良き日中関係を考えるためにも、一度訪れてみたい博物館です。

 本日の二枚です。
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by sabasaba13 | 2018-03-19 06:28 | 京都 | Comments(0)
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