ヴェルディの「レクイエム」

ヴェルディの「レクイエム」_c0051620_214156100.jpg 最近、合唱にはまっている山ノ神。武蔵野合唱団に所属している知人からチケットを二枚購入したということで、第50回定期演奏会に誘われました。曲目はヴェルディの『レクイエム』、指揮は小林研一郎、管弦楽は日本フィルハーモニー交響楽団、独唱は森麻季(ソプラノ)、山下牧子(メゾソプラノ)、西村悟(テノール)、妻屋秀和(バス)、合唱は武蔵野合唱団。これはなかなか良さそう、ようがす、聴きに行きましょう。

 会場はサントリーホール、私は仕事があるので、各自で夕食をとって座席で落ち合うことにしました。そういえば、ホールの前にあるアーク森ビルの三階に「米楽(こめらく)」という和食のお店があり、宇和島名物の鯛めしを食べた記憶があります。よろしい、仕事を早く終わらせて鯛めしをいただきましょう。んが、好事魔多し、急の仕事が山のように舞い込んできててんてこ舞い。結局、ホールに着いたのは開演10分前、夕食を食べることができませんでした。ホールに入ると、山ノ神は余裕の吉田拓郎で、座席に鎮座されています。

 いただいたパンフレットを読みながら開演を待ちました。ヴェルディが作曲家として世に出たのは1842年初演の「ナブッコ」でしたが、これは劇中の合唱曲「行け、我が想いよ」が観客の心をとらえたことがきっかけでした。それまでソリストの美しいアリアの添え物的存在だった合唱が、ヴェルディによってストーリーを引き立てる存在にまで昇華されたのですね。この「レクイエム」は、彼が心酔していた文豪マンゾーニの一周忌のために作曲されたもので、ヴェルディが数々のオペラ曲の中で磨き上げた合唱技術の粋を集めた渾身の力作。これは楽しみです。

 そして合唱団やオーケストラのみなさん、独唱者の方々がステージに登場、最後に指揮者の小林研一郎氏が姿を現しましたが、突然マイクをもって話し始めました。なんと、バスの妻屋秀和氏が練習中に突然声が出なくなり、急遽、青山貴氏が代役として歌うとのことです。そういえば、ジャケットにジーンズというラフな服装でした。それにしても突然依頼されて、よく即座に歌えるものですね、さすがはプロフェッショナル。

 静かに語るように歌われる「レクイエムとキリエ」で曲は始まります。人間の声って、これほどまでもささくれだった心を癒してくれるのですね。そして最後の審判の情景を描く「ディエス・イレ(怒りの日)」の力強さと荒々しさに圧倒され、心が覚醒していきますが、これも声の力。この後も、独唱、二重唱・三重唱・四重合・ソリストと合唱のかけあいなど、さまざまなバリエーションで声のもつ魅力が紡がれていきます。武蔵野合唱団も、この曲が歌える喜びを満身に込めた素晴らしい音楽を聴かせてくれました。男性陣が少ないため、やや低音の弱さを感じましたが大きな瑕疵ではありません。小林研一郎氏も、「その声を聴衆の心に届けるんだ」と言わんばかりの情熱的な指揮で、武蔵野合唱団の意気を引き出してくれました。合唱っていいものですね、山ノ神がはまる気持ちが分かります。
by sabasaba13 | 2018-04-07 08:18 | 音楽 | Comments(0)
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