近江編(87):坂本(15.3)

 JR湖西線に七分ほど乗って比叡山坂本駅に到着。観光案内所で自転車を借りて、坂本の散策です。比叡山延暦寺の門前町として栄えた町で、山上での修行を終えた老僧に与えられた里坊と庭園が散在しています。または穴太(あのう)衆と呼ばれる石工集団の出身地であり、彼らが積み上げた堅固な石垣も見ものです。
 落ち着いた雰囲気の町並みを走っていると、ひと際目立つ恰幅のよい蕎麦屋がありましたが、ここが有名な「鶴喜そば」ですね。
c0051620_1893779.jpg

 石垣や清流を愛でながらペダルを踏んでいると、天台座主となった皇族の居所であったため高い格式を誇る滋賀院門跡に着きました。まずは見事な穴太積みの石垣を堪能。
c0051620_18101479.jpg

 そして拝観料を払い、小堀遠州作と伝えられるお庭を拝見しました。縁側から眺める池泉鑑賞式庭園で、幸いなことに参拝客は私一人。大きな池とそれを取りまく石の饗宴、見事な石橋、滝の音、そして木々の緑。心身に積もった俗塵が洗い流されるような静寂な雰囲気にしばしひたりました。
c0051620_18102875.jpg

 そして比叡山坂本ケーブルの坂本駅へ。昭和初期に建てられた、ヨーロッパの山荘風の洒落た駅舎です。ほんとうはケーブルカーに乗って、頂上の延暦寺駅も見たかったのですが、時間がないため省略しました。無念。なお近くに「長さも景色も日本一」という、ケーブルカーの宣伝がありました。以前に一度、乗ったことがあるのですが、たしかに素晴らしい眺望でした。お薦めです。
c0051620_18112467.jpg

 最後に日吉大社に立ち寄って、日吉三橋と呼ばれる古い石橋を撮影。大宮橋、走井橋、二宮橋、神々しく清冽な雰囲気の中に静かに両岸をつなぐその佇まいに、しばし見惚れました。『かくれ里』(白洲正子 講談社学芸文庫)の中に、次のような一文がありました。
 近江には、優れた石仏が多く、狛坂廃寺の石仏(奈良時代)をはじめ、花園山中の不動明王(鎌倉)、比叡山西塔の弥勒菩薩(鎌倉)、鵜川の四十八体仏(室町)など、それぞれの時代にわたって、美しい作を見ることが出来る。石仏だけでなく、他の石造美術にも傑作が多いが、中でも特筆すべきは、日吉神社の石橋であろう。
 これは天正年間に秀吉が奉納したもので、一の鳥居を入ったところ、紅葉にかこまれた大宮川の清流にかかっている。上流から、大宮橋、走井橋、二の宮橋の順に並び、堂々としていながら少しも重苦しさを感じさせない。お正月か、年の暮か、忘れてしまったが、風花が舞う日に私は、この橋の上で、神主さんの一行と出会ったことがある。十人近くもいただろうか。白一式の、粛々とした行列で、小さな祠や、〆縄をはった木や石に、無言の祈りを捧げて行く。参詣人は一人もいず、寒空にひびくのは、柏手の音ばかり。それはみるからに清々しい、神さびた祭りの光景であった。(p.95~6)

 本日の八枚です。
c0051620_18123769.jpg

c0051620_18124928.jpg

c0051620_1813023.jpg

c0051620_18131461.jpg

c0051620_18132582.jpg

走井橋
c0051620_1814988.jpg

大宮橋
c0051620_18144114.jpg

二宮橋
c0051620_1815314.jpg

by sabasaba13 | 2018-05-17 06:23 | 近畿 | Comments(0)
<< 近江編(88):坂本~京都(1... 近江編(86):堅田(15.3) >>