前川喜平講演会

c0051620_6311348.jpg 元文部科学省事務次官の前川喜平氏の講演会が、家の近くの「ねりぶん(練馬文化センター)」小ホールで開かれるという情報を山ノ神が入手しました。主催は、東京都教職員組合練馬支部、小学校の先生方の労働組合ですね。安倍伍長に抗った骨のある高級官僚、そして子供たちの未来について真摯に考え行動する教育者というイメージがありますが、さて本当かどうか。ぜひ生の話を聞いてみたくなり、彼女とともに参上しました。
 定員588席の小ホールはほぼ満席、組合による動員もあったのかもしれませんが、彼に関心をもつ方々も多数参集されているように見受けられました。まずはいただいたパンフレットから、前川喜平氏のプロフィールを引用します。
 1955年奈良県生まれ。東京大学法学部卒。1979年文部省入省。文部科学省官房総括審議官、官房長、初等中等教育局長、文部科学審議官(文教担当)、文部科学省事務次官を歴任。2016年1月文部科学事務次官退任後は全国各地で講演をしながら、夜間中学の拡充を訴え、自主夜間中学のスタッフとして活動しています。

*義務教育費国庫負担制度改悪の中で
 小泉政権が推進した三位一体の改革の中で、公立小中学校の教職員給与の国負担分が2分の1から3分の1に引き下げられたことを巡り、「義務教育費の削減は道理が通らない」「クビと引き換えに義務教育が守れるなら本望」などと批判し、反対の立場を貫いた。

*加計学園問題の中で
 加計学園による獣医学部新設の件で、「あったものをなかったことにはできない」と述べ、(文書は)文部科学省で作成されたものであると主張した。その選定経緯について「公平、公正であるべき行政の在り方がゆがめられたと思っている」と国会証人喚問の中で発言。

*名古屋市公立中学での講演と文科省の問合せの問題の中で
 2018年2月16日名古屋市立八王子中学校で講演に際して、文部科学省が名古屋市教育委員会へ照会したことについて、教育基本法が禁じる「不当な支配」に該当する可能性が高い、とコメント。

*平和安全法制をめぐる動きの中で
 平和安全法制が参議院で成立した2015年9月18日に、国会前で開かれた反対派の集会に参加していたことを明らかに。
 「練馬ぞうれっしゃ合唱団」による合唱のあと、万雷の拍手のなか、前川氏が登場。ムーミンパパのような穏やかな語り口に、激務をこなした後だけにこれは寝てしまうな、と覚悟しましたがあにはからんや。簡にして要を得た理知的な話と、それを支える静かな熱情のためでしょうか、一睡もせずに聞き入りました。
 前川氏曰く、安倍伍長は戦略として、「教育とメディアを押さえる」ということを一貫してやってきた。短期的には"不都合な真実"を国民から隠し、長期的には政権に従順で政治に無関心な人間をつくろうという腹ですね。氏の話を聞いて感じたのは、もう一つ、「官僚を押さえる」戦略もありそうです。小泉政権の時に、当時局長だった前川氏が一貫して取り組んできたのが夜間中学問題。それまで中学校とされていなかった夜間中学が、正式にそれと認められ、学校予算もきちんと確保されたそうです。小泉政権の時には、官僚がその政策と対立していても、その後人事で報復するようなことはなかった。しかし安倍政権は、自分の意に従わない官僚は、すぐに人事で報復するそうです。高級官僚の口から出ただけに、生々しいリアリティを感じます。私利私欲・党利党欲を満たすために、人事で脅して官僚を私物化する安倍政権の悍ましさをあらためて痛感しました。
 もう一つ印象に残ったのが、いま問題になっている外国人労働者の話です。前川氏が関与している夜間中学には多くの外国人労働者も通学していますが、そのほとんどは知識の獲得や学力の向上ではなく、日本語の習得が目的だということです。彼ら/彼女らに対して、日本語を学ぶ機会が十分に保障されるべきだと静かに熱く語る姿が印象的でした。外国人労働者を使い捨ての道具としてしか見ていない政財界のお歴々は、彼の爪の垢を煎じて飲んでいただきたい。

 人事で脅して官僚たちを私利私欲・党利党欲のために頤使する政治家、保身に汲々として政治家の意図を忖度し*を舐める官僚。まるでサバト(Sabbath)のような光景ですが、その中にあって「公僕」(死語かな)としての責務を貫こうとする志の高い官僚も数多いらっしゃることと思います。彼ら/彼女らを応援したいのですが、どうしたらよいのでしょうか。やはり「今だけ金だけ自分だけ」しか視野にない低劣な政治家を落選させるのが近道でしょう。

 余談です。司会を務めた小学校女性教諭の方が、最後に、ある歌を会場の方々で歌うために「ご起立ください」とにこやかに言い放ったことです。何の屈託も、何の含羞もなく。私は指図されるのも、歌うのを強制されるのも嫌な質なので。すぐに席を立って退場しました。もちろん悪意はまったくないとは思いますが、こうやって日頃子どもたちを管制しているのかと想像すると、ざらっとした違和感を覚えました。
by sabasaba13 | 2018-12-05 06:31 | 講演会 | Comments(0)
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