福井・富山編(11):養浩館(16.3)

 それで建物の中を拝見しましょう。せせらぎにかかる細長い巨石を石橋としていますが、水面から離して渡さずに、浅い流れにどっしりと据えています。これは珍しい。御座ノ間へと続く飛石の色合いも素敵です。公式サイトによると、薄い層が幾重も重なった紫色の流紋岩(安島石)や、ピンク色の黒雲母花崗岩、青緑色の緑色変岩など福井の名石が用いられているそうです。安島石は、一乗谷朝倉氏遺跡の館跡庭園にも用いられているとのこと。
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 靴を入れようと下駄箱を見ると…なんと先客はひとり。これは嬉しい、ゆったりとした閑静なひと時を楽しめそうです。まずは御座ノ間へ、藩主の座が設けられた屋敷の中心となる部屋です。しかし華美あるいは豪放な雰囲気は微塵もなく、美意識を駆使した上品で清雅な空間です。三寸一分という細めの磨丸太や面皮柱を多用しているためか、軽やかさも感じます。出書院に建て込んだ幅の細い組子による明障子と、桑の一枚板を透彫にした麻の葉模様の欄間が、粋ですね。壁は、越前襖紙を約10枚重ねて貼り、仕上げに越前鳥子紙を上貼りした張壁。天井はサワラの薄板を用い漆塗りの棹縁天井で、長押は杉丸太。解説にあったように、水面に反射する日の光が天井や張壁にゆらめく様は、素材そのまのの美しさを活かした造りをよく引き立てることでしょう。水面からの反射光が壁や天井にゆらめく美しさは、修学院離宮の窮邃亭カマキンで堪能しましたが、ぜひここでも見てみたいものです。社交辞令ではなく、本気で再訪を期します。
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 目を瞠ったのが、御次ノ間との境にある欄間。豪奢な彫り物で飾るケースが多いのですが、なんと山ウコギの皮付きの小枝を組んだ抽象的でシンプルな意匠となっています。たくさんの光を取り入れるためでしょう、あえて開放的なつくりとし、そこに自然素材の味を生かしたアクセントをつける。脱帽です。
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御月見ノ間は、南に突き出すように設けられた離れ座敷で、照る月や、水に映る月を愛でるための部屋です。三方から庭を眺めることができますが、欅の一枚板を雲形に繰り抜いた雲窓のある西側の眺めが素晴らしい。雲窓と障子を額縁として、池・木々・小亭・州浜を絵のように切り取った景色には見惚れました。よいアクセントとなっているのが、景石であるとともに、柱を受ける束石ともなっている巨大な平石です。
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 青貝入の螺鈿細工が施された脇棚の袋戸や、モダンな意匠の地袋の扉も印象的です。
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by sabasaba13 | 2019-09-23 06:51 | 中部 | Comments(0)
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