福井・富山編(24):武生(16.3)

 それでは街の中心部へと戻りましょう。途中で、右書きの古い古い看板を軒に連ねた「浅井薬店」がありました。「薬妙くそんぜきせんた 圓海淡」に「ノ士博逸独上井 薬目トーロ」か、これはレアな物件ですね。だから街歩きは面白い。
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 建築事務所「M工房」は、1914(大正3)年に建てられた旧武生郵便局を利用しています。下見板張りの瀟洒な洋館で、正面にある2本の太い欅の通し柱が印象的です。
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 シューズ・ハキモノ卸の「南越」(旧中村商店)は、1912(明治45・大正元)年竣工の古い商店建築で、切妻造り・桟瓦葺きの和風と八つの大きな縦長窓の洋風の対照が面白いですね。
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 武生公会堂記念館は、1929(昭和4)年に建てられた旧武生公会堂を保存活用したものです。アシンメトリーに配置された塔屋と、垂直性を強調する装飾柱が心憎いですね。老朽化のため取り壊しも検討されたそうですが、多くの市民からの要望で街のランドマークとして保存されました。御慶。
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 「田中時計店」は袖壁の卯建が残る町屋建築で、1913(大正2)年に建てられました。でも仕舞た屋のようです。御勤め、ごくろうさまでした。
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 「MODE大井ビル」は福井県で2番目にできたデパート(旧大井百貨店)で、竣工は1932(昭和7)年。いやあ、これはただものではありませんね。2階の片側に寄せた大きなアーチ、リズミカルな三連窓、コリント風の装飾が施されたピラスター(付け柱)、お見事です。設計は近鉄・宇治山田駅や南海ビルディング(南海難波駅)を手掛けた久野節。
 六日の菖蒲、十日の菊、今いろいろと調べていると、まだ見ものがあったことがわかりました。東郷青児が作ったものとして、唯一現存するマネキン。建物の裏鬼門には隅切りがあり、半畳ほどの四角いスペースには白砂が敷かれ、鍾馗と大黒と恵比寿が祀られた「方除」。ああ悔しい、必ずや再訪を期しましょう。
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 太子堂は、1848(嘉永元)年に建てられた聖徳太子を祀る小堂です。笏谷石の高い相輪と宝形造のバランスがいいですね。水煙の下から屋根の四隅に宝鎖が張られ、それぞれに風鐸が2個ずつさがっているのがチャーミングです。文献によれば、江戸時代にこのあたりで生まれた上村伊兵衛が諸国を巡歴したときに携えていた聖徳太子像を、彼の死後、ここで祀ったのが起源とのことです。
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by sabasaba13 | 2019-10-08 06:19 | 中部 | Comments(0)
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