福井・富山編(78):富山(16.3)

 資料館付近の街並みを撮影して、さてそれでは10:21発のバスに乗って富山駅へと向かいましょう。車窓をぼんやり眺めていると、ひさしぶりに"私たち「イカのおすし」を守ります"という標語を見かけました。大津島高円寺で見て以来ですね。贅言ながら説明すると、"知らない人について「イカ」ない・車や悪い誘いに「の」らない・助けてと「お」お声をあげる・「す」ぐに逃げる・大人の人に「し」らせる"という「連れ去り」を防ぐ合言葉です。そして富山駅前にとうちゃこ。
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 富山は以前に一度来たことがあるので、二度目の来訪です。なお最近読んだ本により、ここ富山でもアメリカ軍による激しい無差別爆撃があったことを知りました。以下、引用します。
『日本を問い直す -人類学者の視座』 (川田順造 青土社)

 めぼしい都市を焼き尽くした後、八月二日、B29一八二機が、富山市の郊外の軍の施設ではなく、中心部の市街地を、照明弾をまず投下した上で新型のナパーム焼夷弾で集中攻撃し、二時間で民家の99パーセントを破壊し、3000人の一般市民を殺した。東京で罹災した15歳の男性は、母、妹と一緒に富山へ逃げて来て、この空襲に遭い、母と妹は無惨な姿で焼け死んだ。
 こんな地方都市にまで空襲を続けたのは、30億ドルをかけて開発したB29を、アメリカ空軍は2000機発注していて、その多くが、残された唯一の敵国日本空襲のために、マリアナ基地に配備されていたからでもある。軍と石油会社が共同で開発した、多数の筒に分かれ、発火した状態で人家の屋根を貫通し屋内にゼリー状のナパームが飛び散って発火する新型焼夷弾や、酸素なしで2~3000度の高熱と閃光を発して燃えつづけるエレクトロン焼夷弾も、基地に大量に残っていた。(p.36)

 東京に限らず、もはや日本の敗戦が決定的だった8月2日夜間の、B29一七四機による富山市市街地の焼き尽くしなど、非戦闘員の大量殺戮を目的として組織的に行なわれた空襲の犠牲者は全国に多い。富山市の場合、午前零時から先頭機が照明弾を投下し、後続機が周辺部から焼夷弾を投下して火の輪で市街地を囲み、住民の逃げ場をなくした(この方法は東京大空襲の時と同じだ)。この結果、死者2737人(人口当たりの死者は、地方空襲で最多)、負傷者7900人(人口当たりの負傷者は、地方空襲で最多)、被災人口10万9572人、焼失家屋24914戸(市街地の99・5パーセント)という被害を受けた。
 多額の費用をかけて開発した新型ナパーム弾のストックが、当時マリアナの米軍基地には山のようにあり、これをできるだけ消費するという「戦争の経済学」も作用していたらしい。(p.293)


『血と涙で綴った証言 戦争』 (朝日新聞テーマ談話室・編 朝日ソノラマ)

母よ妹よ、狂った孤独の少年よ
 終戦の年の八月一日深夜から未明にかけて、富山市は激しい空襲を受けた。私たち一家(母・41歳、妹・13と1歳、私・15歳)が東京から疎開してきて四ヵ月後のことだった。その夜、勤労動員の疲れでぐっすり眠りこんでいた私は、母がゆり起こしたような声を夢うつつできいていた。ハッと気がつくと、何かが炸裂するような、ただならぬあたりの物音。私は両手に何がしかの物を持ち、防空ずきんの上からかいまき布団をかぶって避難した。しかし、行く手は炎に阻まれ、郊外までは脱出できず、やっとのことで周囲を家に囲まれた田んぼに身をひそめることができた。家族はちりぢりになっていた。
 B29は十数機ずつで波状攻撃をかけ、街中が火の海となった。近くの紡績工場の油タンクがごう音を立てて炎を天高く吹き上げる。
 夜が明けて焼け跡に戻ったが、帰ってきたのは上の妹だけだった。翌日、廃虚の街のあちこちを、竹の棒を手に母たちを探し回った。半日ほどして、ある防空ぼうで二人を見つけた。母は赤ん坊を抱くように両手を少し広げ、体を左側にして横たわっていた。右のほほ骨が焦げて炭のようになっていた。妹は少し離れて、母の両腕から抜け出した形で仰向けになっていた。おなかの皮は胸のあたりからもものつけ根まで裂けてなくなり、腸が風船のように異様に盛り上がっていた。翌日(と記憶している)炎天下で二人を焼いた。
 その日も焼け跡のあちこちで遺体を焼く煙が上がっていた。この空襲で二千数百人の市民の命が奪われた。(8月27日) 東京都 中山伊佐男 57歳 高校教諭 (下p.493)
 言葉もありません。この戦争犯罪の責任を追及せず、あろうことか敗戦後もアメリカ軍に基地を無制限に提供してその無差別爆撃を幇助し続けている恥知らずなこの国の政府と、それを支持する人びと…

 本日の三枚は、八尾の街並みです。
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by sabasaba13 | 2019-12-11 06:15 | 中部 | Comments(0)
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