信州編(8):御代田(16.8)

 ブロンプトンにまたがり、さらに西へと疾駆。途中で右折して緩やかな上り路を北へと向かいます。こういう時に六段変速は有効ですね。そして普賢寺にとうちゃこ。
信州編(8):御代田(16.8)_c0051620_1049485.jpg

 さて、なぜ御代田の普賢寺に来たのか。実はこのあたりに、故武満徹氏の別荘があるのです。日頃、氏の音楽を愛聴しているわけではありませんが、時々無性に聴きたくなることがあり、そのような時はその不思議で魅惑的な響きに身を浸らせます。聴き終わると心身の調律をすませたようで、すっきりとした気分になれます。私にとって必要な音楽家の一人ですね。さて、御代田に氏の別荘があるのをなぜ知ったのかというと、「クラシック音楽はワンダフル!」というサイトを偶然読んだおかげです。作者の方に謝意を表すとともに、転記させていただきます。
 役場で聞いたとおり、まっすぐ北へ向かってタクシーで約10分、普賢寺へと向かった。この寺のうら一帯が普賢山落とよばれる別荘群であるはずだ。寺の裏にまわると、目の前の小高いところ一帯が別荘地のようである。しかしそこに至るには、右と左に見えるどちらかの坂を上らなければならない。そして、上りきった二つの地点はずいぶん離れているようなので、右か左かうまく選ばないと、別荘を探し当てるのがかなり難しくなりそうだ。坂の上に広がるゆたかな緑にさそわれて、私たちは右側の坂をえらんだ。ところがその坂を上るには、先ず個人の家の裏庭を通らなければならないことに気がついた。夫は躊躇したが、私は腰をかがめ「すみません、通してください」と小さな声で繰り返しながら、夫の先にたって誰もいない裏庭を通りぬけ坂道にでた。上りきった角地は、生垣にかこまれた広い庭になっていた。生垣に沿っていくと、少々奥まったところに玄関がみえ、その脇の部屋に灯りがついていた。わけもなく懐かしくなるような、そのしっとりと落ちついた雰囲気に包まれて門の前を過ぎようとした時、低い門柱の表札が目にはいった。縦書きのはっきりした文字で「武満」とあった。
 普賢寺の門前にブロンプトンを停め、右側の坂を上るとたしかに個人宅の裏庭のような空間がありました。人の気配がないので「おじゃまします」と心の中で呟き、さらに坂道を上ると山荘群があります。そのうちのひとつ、大きな三角屋根が印象的なモダンな意匠の山荘の郵便ポストに「武満」と記されていました。ここだ。
 これだけでもう満足です。近くの森を歩き、清冽な空気を吸いながら、彼がこのあたりを散策しながら楽想をねっていたのかなと思うと、耳朶の奥で「弦楽のためのレクイエム」が響いてきました。

 本日の二枚です。
信州編(8):御代田(16.8)_c0051620_10512697.jpg

信州編(8):御代田(16.8)_c0051620_1051445.jpg

by sabasaba13 | 2020-02-10 07:23 | 中部 | Comments(0)
<< 信州編(9):上田(16.8) 信州編(7):御代田へ(16.8) >>