「DAYS JAPAN 12月号 世界を動かした写真の50年」

 「DAYS JAPAN 12月号 世界を動かした写真の50年」観了・読了。以前にも紹介しましたが、今世界で起きている現実を写真によって報道し状況を変える一石になろうという志をもった気鋭の写真月刊誌です。昨今の萎縮した日本のジャーナリズムの中で、天狼星のように孤高に輝く稀有な写真誌、一人でも多くの人に読んでいただきたいな。12月号は「世界を動かした写真の50年」という特集で、1955(昭和30)年にオランダで設立された世界報道写真財団のコンテストで大賞となった作品のうち代表的なものを掲載しています。著作権の関係でこのブログでは公開できないのですが、見れば「ああっあの写真だ」と思い当たる方も多いと思います。ベトナム戦争関係では、川を渡って必死に逃げる母と子(沢田教一撮影)、ナパーム弾から逃げまどう裸体の少女、焼身自殺をする僧の写真。山口二矢が浅沼稲次郎を刺殺した瞬間の写真。そして私にとって最も印象に残る、天安門事件の際に素手で戦車の前に立ちはだかり対峙する男。下記のような注があります。
 チャーリー・コールは、写真がぶれないように、息を整えてシャッターを切った。彼は「この学生が命がけで抗議行動をするのなら、私も命がけでこの写真を撮る義務がある」と思ったという。
 第二次大戦後の歴史の証言として、いずれもおとらぬ貴重な写真の数々です。そして命を懸けて現実をフィルムにおさめ続けたカメラマン諸氏に敬意を表したいと思います。

 そしてトピックスとコラムでは、ジャーナリズムがまともに報道していない、そして私たちも知ろうとしていない、きわめて重要な記事がありました。
 まず11月4日と5日に、アルゼンチンのマルデルプラタで開かれた米州34カ国のサミットについて。米州自由貿易地域(FTAA)条約の締結が目的ですが、この条約が成立すると圧倒的な経済力を持つアメリカ資本や商品が米州全域を制覇し、現地産業を壊滅させることが予想されます。よってベネズエラ・アルゼンチン・ブラジルなどとの対立が激しく、ついに合意に至らなかったことです。注目すべきは二つ。まずこうした国々は「貧困廃絶」を最優先課題とする左派政権であり、アメリカの市場優先の新自由主義政策に対抗していることです。そして5万人の反グローバリゼーション派が、このサミットに対して抗議デモを繰り広げたこと。デモを呼びかけたのは、FTAAに反対するために国際的に組織された「西半球社会連合(HSA)」で、すでに米州を中心に労働組合、農民、女性、学生などの400以上の組織が加盟しているそうです。
 二つ目は、2005年のノーベル平和賞が、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長に贈られたこと。これは周知の事実ですが、イスラエルは核兵器を所有しています。核拡散防止条約への署名を拒み、ディモナ核施設へIAEAの査察が入ることを認めていません。なおディモナ原発が核爆弾製造工場であることを告発したモルデハイ・バヌヌ氏は国家反逆罪により18年間もイスラエル獄中に収監されました。エルバラダイ氏はイスラエルに対して何の行動も起こさず、バヌヌ氏に会おうともしません。なぜこのような人物がノーベル平和賞に値するのか? (ま、佐藤栄作も受賞しましたが) 同様の事をしたイラク(まだイスラエルよりIAEAに協力的だったと思いますが)に対しては攻撃・殺戮を行い、イスラエルには軍事援助を行うアメリカ。そして見て見ぬふりをする国際社会。恐るべき二重基準です。バヌヌ氏にノーベル平和賞を贈れば、世界の反核運動に弾みがついたのに。

 なぜ、こうした極めて重要な動きを日本のジャーナリズムはきちんと報道しないのか。ワールド・カップで浮かれている場合ではないでしょ。そしてそれを支えるべき一般市民の知的怠慢(もちろん自分も含めて)の度し難さ。せめて身銭を切って、良質なジャーナリズムを応援し続けたいと思います。
 なお最後のページにラージガードに刻まれたガンジーの碑文が紹介されていました。
七つの社会的罪
1,理念なき政治
2,労働なき富
3,良心なき快楽
4,人格なき学識
5,道徳なき商業
6,人間性なき科学
7,献身なき信仰
 マハトマ、その通りです。

●DAYS JAPAN http://www.daysjapan.net/
by sabasaba13 | 2005-11-25 06:07 | | Comments(2)
Commented by Pleiades Papa at 2006-04-27 15:58 x
こんにちは。いよいよ連休で桜を追って津軽へ出かけるのですが、再度貴兄の「東北」編を追っていて思わず唸ってしまいました。紅葉狩りに、読書に、絵画に、映画と守備範囲が重なると思っていたところ、ウーン「DAYS JAPAN」(こんなマイナーな出版物への入れ込み)までとは。ヒョッとしてマイクロソフトがお嫌いなのではありませんか?携帯電話も出来れば持ちたくないと・・・
Commented by sabasaba13 at 2006-04-27 18:30
 こんばんは。本当に羨ましい! 私も数年前に勇んで角館に花見に行ったのですが、見事に散った後でした。いまだそのショックから立ち直れません。この時期に二週間ぐらい東北を彷徨ってみたいですね。
 「DAYS JAPAN」は文中にも書きましたように、素晴らしい月刊誌です。一人でも多くの人に手にしてもらいたいので、折にふれて広報活動をしていくつもりです。マイクロソフトには別に特別な感情はもっておりませんが、携帯電話は持っておらずまた持つ気も毛頭さらさらありません。自分の居場所を知られるのが嫌ですし、私空間に無神経に電波を送られるのも真っ平御免です。冷蔵庫付きの新製品が発売されれば考えますが。
 それでは、Bon Voyage!
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