“野戦病院”は義務

 自民党政権の無能・無策・無知・無責任・無気力にもかかわらず、コロナウイルス流行の第5波はおさまりつつあるようです。医療従事者のみなさん、本当に本当にありがとうございました。しかし予断は許されません。政府や自治体は、第6波に備えての医療体制の整備と充実に全力を投入していただきたいと思います。
 そして何よりも望むのは、次なる感染の波が起きた時に、今回のような自宅療養…もとい自宅遺棄という事態を絶対に避けてほしいということです。素人考えですが、「自宅療養」をさせてはならない理由は二つあります。
 一つ目は、常時医師がそばにいるわけではないので、容体の急変に対応できないこと。
 二つ目は、家庭内感染につながり、ひいては社会全体の感染者増につながること。よく「自宅療養」のマニュアルなどが紹介されていますが、完全に感染をくいとめることなど一般の家庭内では無理であろうし、感染力の強いデルタ株ならなおさらです。病床が逼迫したときに、すかさず臨時の医療施設、いわゆる"野戦病院"を開設して感染者を隔離・治療することが重要だと考えます。
 しかし残念ながら、第5波において、臨時の医療施設を開設した自治体はたいへん少なかったようです。そのために多くの方が苦しみ、そして亡くなり、感染が拡大したかを想像すると忸怩たる思いです。しかし、こうした施設を準備するための人手や予算の不足を考えると、致し方ないところもあるのかな、と多少は自治体に対して同情的な見方をしていました。
 ところが『東京新聞』(2021.10.4 夕刊)に掲載された片山善博氏(早稲田大学大学院政治学研究科教授)の指摘を一読して驚きました。

立ち遅れた臨時医療施設 特措法の規定を生かせず
  
 このところ「野戦病院」のことが新聞やテレビでよく取り上げられる。一般に野戦病院とは、戦場で傷病者に応急手当てを施すために設けられる医療施設のことを言う。もちろん、目下の野戦病院はこのことではない。新型コロナウイルス対策の根拠法である新型インフルエンザ等対策特別措置法(以下「特措法」という)に規定されている「臨時の医療施設」のことである。
 特措法では、感染症がまん延することによって病院などの医療機関が不足し、医療の提供に支障が生じる場合、患者に医療を提供するために臨時の医療施設を開設することが定められている。まさしく今日のような、本来なら入院すべき人が適切な治療を受けられないまま自宅で待機させられるような事態を防ぐためである。
 特措法の条文をもう少し詳しく読むと、臨時の医療施設を開設するのは都道府県知事で、知事には開設するかしないかの選択肢があるわけではなく、医療機関が不足したときには義務として開設しなければならないこととされている。そうであれば、陽性患者の入院が滞っている東京都をはじめとする幾つもの都道府県で医療施設が十分に解説されていないのは明らかに特措法に違反している。
 しかも、特措法は都道府県に対して「新型インフルエンザ等対策行動計画」をあらかじめ策定しておくよう義務付けてもいて、その行動計画の中にこの臨時の医療施設のことを定めておくよう求めている。現に、全国の都道府県ではこの行動計画を策定していて、そこにはこのことをちゃんと書き込んでいる。
 ちなみに東京都の行動計画では、「感染拡大により、病院その他の医療機関が不足し医療の提供に支障が生じる場合には、特措法に基づき、臨時に開設する医療施設において医療を提供する」としている。
 他の道府県の行動計画でも、書きぶりに多少の違いが見られるものの、いずれも医療機関の収容人数を超えるようなときには臨時の医療施設で適切に医療を提供できるように準備しておく旨を表明している。
 ところが、行動計画に定める臨時の医療施設を前もって設けているのは福井県など数えるほどで、それ以外では、ほとんど準備すらされてこなかったのが実情である。
 感染症のまん延という危機においてなすべきことを、都道府県は前もって行動計画に定めているのに、いざという時にそれが実行されない。これでは、まるで絵に描いた餅である。いったいどうしてこんなことになってしまったのか。
 その原因として、自治体行政に関心を長年寄せてきた筆者には思い当たることがある。これまで、国はさまざまな行政分野で、自治体に対して法律で計画の策定を義務付け、それを国に提出するよう求めてきた。特措法上の行動計画もその一つである。これを受け、自治体は怠りなく計画を策定し国に提出してきた。
 ただし、じっくり時間をかけ、地域の関係者が念入りに協議し、よく練り上げた上で策定する例はまずない。そうではなくて、自治体の担当課の職員が国から送られてくる手引書のようなものをお手本にして、それをなぞってそそくさと策定してきたのがこれまでのやり方だと言っていい。
 そこでは国の受けが良い計画を手っ取り早く作り上げることが優先されていて、必要な時に関係者の指針になるような観点は総じて抜け落ちている。これではせっかくの計画も「仏作って魂入れず」で、肝心な時にはほとんど使い物にならない。このたびの行動計画も、実はこの類いだったのだろうと思う。
 特措法は、医療崩壊を来すような感染爆発のことも計画に入れ、先回りして野戦病院の準備をしておくよう都道府県知事に命じている。もしそれが着実に実行されていたら、入院難民激増という深刻な事態は避けられた可能性はある。野戦病院は現下の深刻な事態に対応するための新たな施策のように報じられることが多いが、実はこんな経緯と背景があることを知っておくのも必要だと思う。

 衝撃でした… 野戦病院を準備しておくのは都道府県知事の義務だったんだ… そしてその準備をしないことは法律違反だったんだ…
 それにもかかわらず菅政権は、中等症でも重症化リスクが低いと判定された人は、原則自宅療養とする方針を打ち出しました。また小池百合子東京都知事は、7月28日に「1人暮らしの方々などは、自宅もある種病床のような形でやっていただくことが病床の確保につながる」と、むしろ「独居自宅療養」を奨励しました。自宅に遺棄されて亡くなられた方は約250人と仄聞しております。臨時医療施設を開設して、感染した方を隔離・治療すればその命を救えた可能性が高いし、それは知事の法律上の義務のはずです。それなのにその義務を果たさず、隠蔽して自宅"療養"を奨励さえした小池都知事。呆れて開いた口がふさがりません。これは刑法第211条で規定されている業務上過失致死傷罪に該当するのではないでしょうか。

 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

 この犯罪的行為、いや犯罪を多くの方に知っていただきたく、怒りとともにキーボードを叩きました。また彼女を支持した3,661,371人の方々には、この御仁の恥知らずで冷血な本性に気づいていただきたく思います。

by sabasaba13 | 2021-10-20 06:47 | 鶏肋 | Comments(0)
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