フランク・ロイド・ライト展

 フランク・ロイド・ライトの建築が大好きです。周囲の環境との調和を意識した大胆で斬新な意匠、細部にまで意を尽くしたモダンな装飾。これまで、帝国ホテル玄関自由学園明日館旧山邑家住宅を拝見しましたが、いずれも見事な名建築でした。アメリカに行って落水荘やグッゲンハイム美術館を拝見したいのですが、見果てぬ夢になりそうだなあ。いやいや、あきらめたらそこで試合終了。ぜひ機会をつくりましょう。
 そのライトに関する展覧会が、パナソニック汐留美術館で開かれているそうです。先日、山ノ神を誘って観にいってきました。
 この美術館は初見参、都営地下鉄12号線(※我が家ではあのレイシストが命名した「大江戸線」という名称を絶対に使いません)の汐留駅で降りて歩いていると、おお、復原された新橋停車場がありました。噂に聞きいつかは訪れようと思っていたのですが、ここにあったのか。盲亀の浮木、優曇華の花、展覧会を鑑賞したあとに寄ることにしましょう。

 そしてパナソニック東京汐留ビルの4階にある美術館に到着。まずは公式サイトから紹介文を転記します。

「フランク・ロイド・ライト-世界を結ぶ建築」

 アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867-1959)。「カウフマン邸(落水荘)」や「グッゲンハイム美術館」で知られるライトは、「帝国ホテル二代目本館(現在は博物館明治村に一部移築保存)」や「自由学園」を手がけ、熱烈な浮世絵愛好家の顔も持つ、日本と深い縁で結ばれた建築家です。
 2012年にフランク・ロイド・ライト財団から図面をはじめとする5万点を超える資料がニューヨーク近代美術館とコロンビア大学エイヴリー建築美術図書館に移管され、建築はもちろんのこと、芸術、デザイン、著述、造園、教育、技術革新、都市計画に至るライトの広範な視野と知性を明らかにすべく調査研究が続けられてきました。こうした研究成果をふまえ、本展はケン・タダシ・オオシマ氏(ワシントン大学教授)とジェニファー・グレイ氏(フランク・ロイド・ライト財団副代表、タリアセン・インスティテュート・ディレクター)を迎えて日米共同でキュレーションを行ない、帝国ホテルを基軸に、多様な文化と交流し常に先駆的な活動を展開したライトの姿を明らかにします。
 精緻で華麗なドローイングの数々をお楽しみください。世界を横断して活躍したライトのグローバルな視点は、21世紀の今日的な課題と共鳴し、来るべき未来への提言となるはずです。
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 思ったよりは小ぶりな美術館でしたが、充実した内容でした。浮世絵の影響を受けた、精緻で美しいドローイングの数々。環境や気候に適い人の生活を豊かにする有機的建築としての「落水荘」や「山邑邸(現・ヨドコウ迎賓館)」の紹介。家庭生活や教育のあり方の変革に取り組んだ「クーンリー・プレイハウス幼稚園」や羽仁もと子の依頼による「自由学園」。
 そして畢生の大作・帝国ホテル、その模型が3Dプリントレプリカで展示されていました。彼の愛弟子・遠藤新への手紙も展示されており、その一節「遠藤さんには私が日本の建築の未来のためにつぎ込んだ全てを託したつもりであり、良き手に委ねることができたと考えていまう」には胸が熱くなりました。そのライトの思いが、甲子園ホテルとして結実したのでしょう。また、購入したカタログには、アントニン・レーモンドとの関係が次のように述べられていました。

 しかしレーモンドにとって帝国ホテルの仕事はマンネリズムにしか思えず、1年余りのうちに帝国ホテルに見切りをつけ、1921年の初めに米国建築合資会社を設立した。ライトはその直後に、独立に向けて動いたレーモンドへの怒りをあらわにした手紙を送っている。おそらくレーモンドは日本におけるアメリカの建築家の需要を実感していたのであろう。すでに多くの仕事を得て、日本の近代建築を語る上で欠かせない存在になった。(p.137)

 垂直に伸びる高層建築や、都市機能をビルの中に集約させた美しいオフィス空間への関心。ジョンソン・ワックス・ビルも見学したくなってきたぞ。
 そして多様な文化との出会いと交流。ゴルフ文化と先住民の建築の実践を融合させたナコマ・カントリー・クラブ計画案や、イスラム文化との出会いから生まれた大バグダッド計画が紹介されていました。

 なおライトが1930年代後半から取り組んだ、一般的なアメリカ国民が住むことのできる安価で美しい住宅、ユーソニアン住宅の一部が復元されていました。写真撮影も可能、なかなか粋なはからいですね。
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 というわけで、フランク・ロイド・ライトの豊穣な世界を堪能できる展覧会でした。これは何としても、ライト建築を観るためにアメリカに行きたくなってきたぞ。

by sabasaba13 | 2024-03-21 05:55 | 美術 | Comments(0)
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