具志堅隆松氏講演会

 辺野古新基地建設のため、防衛省は沖縄本島南部地区の土砂を埋め立てに使おうとしています。間違いなく、沖縄戦における多くの遺骨が混じっているのに… これは戦死者に対する冒?です。許せません。
 この動きに先頭に立って反対し、遺骨収集の中心となって活動されている具志堅隆松氏の講演会が開かれることを知りました。これはぜひ話を聞いてみたい。主催は「沖縄戦を考える練馬の集い実行委員会」、タイトルは「沖縄戦の現場から声をあげる -戦没者の声なき声を聞く-」です。いただいたチラシに掲載されていた紹介文を転記します。

 「ガマフヤー」とは沖縄言葉で、住民が逃げ込んだガマ=自然洞窟=を掘る人という意味。具志堅隆松さんは、これまで約400体の遺骨と向き合ってきました。遺骨はいまも、沖縄本島南部を中心に3000体近くが埋もれたままと言われています。長い年月が経過するなかで骨と土が混じり合ってしまった南部の土を、米軍の辺野古新基地建設の埋め立てに使うことに、具志堅さんは「死者を冒とくするもの」と声をあげました。
 戦争で命を断ち切られた人々の「声」は、沖縄を二度と戦場にさせてはならないと訴えていると語る具志堅さんにお話いただきまず。

具志堅隆松さん
 1954年生まれ。沖縄県那覇市生まれ。28歳のとき遺骨収集にたずさわったことを機に、沖縄激戦地や住民らが身を潜めたガマ(壕)から遺骨を集め供養をはじめる。1973年遺骨収集ボランティア「ガマフヤー(ガマを掘る人の意)」を設立。開発・市街地化の進む沖縄で、市民と共に戦没者の遺骨収集をつづけていることにたいし、2011年吉川英治文化賞。

当日、練馬区役所地下多目的会議室に早めに行くと、ほぼ満席に近い状況です。若者が少ないのは少々残念ですが、この問題にこれほど多くの人が関心を持っているのは本当に嬉しい。主催者側の発表によると、参加者は132人とのことでした。

 まずQABドキュメンタリー番組『戦没者を二度殺すのか ~遺骨が眠る土と埋め立て計画』を20分ほど視聴したあとで、具志堅氏が登壇されました。以下、私の文責で内容をまとめてみます。

 本日、話したいことは二つある。一つ目は、遺骨収集について。二つ目は「本土も戦場になる」ということを共有したい。

 遺骨収集について。数年前まで、国も沖縄県も遺骨収集は「終息」したという立場をとっていた。しかし多くの遺骨が発見されたことにより立場を変え、2016年には遺骨収集に関する法律を制定した。その中で、DNA鑑定をした上で遺骨を遺族に返すことが定められた。遺骨には遺族のもとに帰る権利があり、国には帰す責任があることを認めたのである。
 以後、沖縄県の事業として遺骨収集が行なわれている。失業対策として、失業者やホームレスを雇用している。そのほとんどは本土から来た方々であるが、熱心に働いてくれる。中には、自殺をしようと沖縄にやってきたが、遺骨を収集しているうちに生きる意味を見出し家族の元に帰る人もいた。
 収集の際には、遺骨を傷つけないように竹串ではなく木の枝を使う。この壇ほどの面積から230発の銃弾を掘り出したこともあり、「鉄の暴風」を実感した。遺骨はすべて日本人であり、アメリカ兵のものはない。
 いまだ多くの遺骨が混じる本島南部の土砂を埋め立てに使う、つまり海に棄てるのは仲間への裏切りであり許せない。恥知らずである。3年前、防衛省に視察を要請したが、「要請は内部で共有した」と答えただけで実現していない。「土砂に遺骨が含まれていることを認識しているか」という問いにも回答がない。今度の6月18日に、防衛省と意見交換をする予定。南部の土砂採掘を撤回しないのなら、6月23日の慰霊の日に来沖する岸田首相に抗議してハンガー・ストライキを行なう。

 二つ目は、「本土も戦場になる」ということを共有したい。日本もアメリカも、台湾有事が起こるということを大前提にしている。共同通信によると、防衛省は「住民を避難させる余力は自衛隊にはない、自治体で考えろ」という立場である。実際に国民保護法では「戦争が起きた際には自治体が住民を避難させる」と規定してある。「避難」ということは戦争が起こることを前提にしている。この議論に乗ってはいけない、つまり絶対に戦争を起こさせないことが最重要。私は自衛隊員に戦死してほしくないのである。
 いま、日本本土には130カ所の弾薬庫が存在する。現代の戦争ではミサイルが主役であり、ミサイルに対する敵の攻撃を封じるために発射車両は発射後すぐに移動する。これを捕捉するのは困難。そこで標的となるのは、捕捉が容易な弾薬庫である。つまり弾薬庫がある130の地点は、戦争が起きればミサイルを撃ち込まれる。つまり日本本土も戦場となるのである。なお同じく標的となる自衛隊基地は全国に300あるが、その司令部の地下シェルター化が進められている。しかし住民はこのことを知らない。
 そもそも日本は戦争が出来る国ではない。全国に54基の原子力発電所がある。また戦争になったら食料の輸入が途絶し、食料自給率が低い日本はひとたまりもない。
アメリカの真意は、中国と日本を戦わせることである。№2の中国と№3の日本が戦争をすれば№1のアメリカの地位は安泰である。その手に乗ってはいけない。
 どうすれば戦争を防げるか。戦争をする/しないを決めるのは主権者であるわれわれ国民。「本土も戦場になる」という事実を共有し、不安を感じ、抗議を行ない、連帯し、国民行動を巻き起こせば絶対に防げる。

 以上、私なりの拙い要約でした。なお具志堅氏の遺骨収集を追ったドキュメンタリー映画『骨を掘る男』をつくられた奥間勝也監督が会場にいらして映画のPRをされました。ポレポレ東中野で本日より上映とのこと、これはぜひ観にいきましょう。

 講演をうかがって、日本政府が戦死者に対する敬意や弔意をまったくもっていないことがよくわかりました。辺野古新基地をつくってアメリカの歓心を買うことに汲々とし、そのためには遺骨を海に棄てても何の痛痒も感じない。何という恥知らずな政府なのでしょう。このこともぜひみんなで共有して、次の衆議院選挙では鉄槌をくだしましょう。
 そして戦争になれば日本本土も標的となること、それを防ぐためには事実の共有、不安、抗議、連帯、国民行動が必要という理路も納得です。やればできる。
いずれにしろ、大事なのは事実や知識の共有なのですね。そのためには、私たち国民が関心をもって事実や知識を知ろうとすること。そしてメディアがたとえ政府に都合が悪くても国民が知るべき事実や知識をきちんと伝えること。これからも政治や社会に対して無関心にならず、気骨あるメディアを応援していく所存です。
 具志堅さん、貴重で大事なお話をどうもありがとうございました。
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by sabasaba13 | 2024-06-15 07:07 | 講演会 | Comments(0)
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